9月26日付「『赤旗』論壇時評」に、こんな記事が載っています。

 河野洋平(前衆院議員・元自民党総裁)「日本外交に理性と誠実さを」(「世界」)は、民主党政権は武器禁輸措置の緩和、原子力基本法の改変、集団的自衛権の容認の動きなど、「平和国家としての日本の存立を危うくしかねないような数々の法改正などを、さしたる議論もなく進めて」おり、「実に危険なことばかりです」と憂慮しています。

 河野氏は、アメリカが、国際社会での地位が変化し、複雑な動きをしているにもかかわらず、「とにかくアメリカにくっついていくしかないのだという精神構造だけが引き継がれ、むしろ増大しています」と警告します。河野氏は対米追随を旨とする自民党政権の外相も経験しただけに、注目に値します。

 河野氏は官房長官だった1993年、「慰安婦」問題で、日本軍や官憲の関与による強制連行、虐待を認める談話を発表しました。政府は事前に被害者への聞き取りをしました。その経験から、「強制の証拠がない」として「慰安婦」の存在を否定する議論に、「日本政府の調査に対し、当事者の方々がその辛い体験を話してくさったのは、こちらの姿勢への信頼が生まれて初めて語ってくださったのです。『証拠がない』という批判は、その信頼を裏切るものだと指摘しておきたい」と反論します。重みのある発言です。

【2012年9月26日付しんぶん赤旗に掲載】