ぜひ、知っていただきたいのは、「共産党」の名前には、党の歴史と未来社会の理想が込められていることです。日本共産党は1922年に誕生しました。当時の日本は、天皇による専制政治のもと、国民は無権利状態におかれ、侵略戦争に突き進んでいきました。日本共産党の先輩たちは「侵略戦争反対」「主権在民」を掲げ活動しました。作家の小林多喜二など多くの先輩が弾圧で命を落としました。戦後、党議長を務めた宮本顕治氏は12年間、獄中で不屈にたたかい、2007年に亡くなったとき、「反戦によって日本人の名誉を救った」(評論家の加藤周一氏)と評されました。

 自民党や民主党の先輩だった保守政党や、社民党などの前身だった社会民主主義政党は侵略戦争を推進したことから、戦後は同じ名前で国民の前に出られませんでした。戦後も
日本共産党は大企業・アメリカ言いなりの政治に正面から立ち向かい、アメリカの支配や旧ソ連、中国の覇権主義ともたたかってきました。

 不破哲三社会科学研究所所長の『時代の証言
』への書評で、「読売」特別編集委員の橋本五郎氏は「日本共産党に対するソ連、中国のからの干渉の激しさには改めて驚いてしまう」「その圧力に徹底的に抗しながら、『自主独立路線』を貫いてきたことは十分評価すべきだろう」と書きました。共産党というと、ソ連や中国を連想する方もいるかもしれませんが、その国からの干渉と一番激しくたたかったのが日本共産党なのです。

 未来社会への展望でも、旧ソ連のような体制とは正反対の社会をめざします。そもそも「共産主義」という言葉は、「共同体」を意味する「コミューン」からきました。搾取や抑圧、戦争のない、本当に平等で自由な人間社会をめざす理想が込められています。

【2012年9月25日付しんぶん赤旗に掲載】

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