ギリシャ財務省はこのほど、第2次世界大戦中のナチス・ドイツによる戦争犯罪に関する保存記録を精査し、未払いの賠償金額を算出する方針を明らかにしました。同省は作業グループを立ち上げ、年末までに報告書を提出するよう求めるとしています。

 ステイコラス副財務相は「問題は未解決だ。ギリシャは権利を放棄しない」と強調。一方で「現実的かつ冷静に対処する」として、ユーロ圏の財政・金融危機をめぐって難題を抱える両国の関係に留意する姿勢も示しました。

 債務危機に陥ったギリシャは、ドイツをはじめとするユーロ圏諸国などから、増税やリストラなど緊縮策の実施を条件に、有志と債務一部帳消しの措置を受けてきました。しかし、緊縮策を進めた結果、国民の生活苦は増大し、自殺者が相次ぐなど社会問題となっており、市民や労働者は緊縮策に抗議するデモ行進や集会を各地で行っています。

 こうした中、ギリシャ政界では、緊縮策の実施を迫るドイツについて、ナチスによる占領時代を想起する動きが出ています。アテネからの報道によると、ドイツは1060年の条約に基づき、ナチス犯罪によるギリシャ人犠牲者に7400万ドル(約58億円)を支払い益した。ドイツ憲法裁は2006年、個人への賠償を不要だとする判断を示しています。

【2012年9月18日付しんぶん赤旗に掲載】