日本の観測史上最大のマグニチュード9の揺れと巨大津波によって1万5千人を超える死者を出した東日本大震災から11日で1年半です。依然、2800人以上が行方不明ですまちを根こそぎ奪った地震と津波のすさまじさを示しています。

 東京電力福島原発事故も重なった「複合災害」は東北3県を中心に34万人以上に避難生活を強いています。被災者の生活を支えるとともに、本格的な復興へ加速することが重要になっています。

 被災地は2度目の夏、またも厳しい暑さに苦しめられました。強い日差しが仮設住宅の屋根を熱し、室温は40度近くに達したところもありました。電気代節約のためエアコンなどの冷房は最小限に我慢する人たちもいました。熱中症で搬送されたお年よりも少なくありません。

 短い秋の後は冬が来ます。長引く仮説での生活は住民の心と健康を破壊します。被災者が安心して暮らせるよう物心両面でのきめ細かな支援の継続は不可欠です。ところが国は、医療・介護の窓口・利用料負担や保険料を減免する特別措置を、原発事故避難指示地域を除いて、9月末で取りやめる方針です。あまりに冷たい、逆行した政策です。多くの自治体は独自努力で減免を続けますが、、大変な財政負担です。「救われた命」が失われないようにするため国としての支援こそが必要です。

 公的支援を拡充し住宅の再建をすすめ、災害公営住宅の建設も急がれます。また、仕事と雇用の確保は急務です。地域経済を支える中小企業への支援や漁港の再建などには特別なテ伊達が必要です。地域社会全体を再建する復興に力を注ぐ時です。

 原発災害は、16万人以上が県内外に避難を続けるなど福島県民に甚大な被害をもたらしています。東京電力の賠償もまだまだ不十分です。事故収束の見通しだけでなく、放射能で汚染された地域の除染も急がなければなりません。原発を「国策」として推進してきた政府の責任があらためて問われます。いまこそ原発からの撤退を決断し、反省の上にたった被災者への補償と地域再生に全力をあげるべきです。

【2012年9月9日付しんぶん赤旗に掲載】