大阪市の橋下徹市長は21日、市役所で記者団に、戦時中の「従軍慰安婦」問題に関し「強制の事実については確たる証拠はない」などと述べました。橋下氏は「慰安所はあったのかもわからないけど、慰安婦が軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられたという証拠はない。あるなら韓国にも出してもらいたい」と主張しました。

 政府は1993年の河野洋平官房長官談話で「慰安所は、当時の軍当局の要請により設営された」との認識を示し、慰安所の設置、管理、慰安婦の移送についての旧日本軍の関与や慰安婦の募集をめぐる強制は認めています。

 また、橋下氏は「慰安婦制度はいまから考えると非情に倫理的に問題のある制度なのかもしれないが、当時の時代背景において、どういうものだったのかということを真正面から議論しなければいけない」などと述べました。
【2012年8月22日付しんぶん赤旗に掲載】

松下ゆたかのコメント この問題を「真正面から議論しなければいけない」ということは賛同できる。しかし、「慰安婦が軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられたという証拠はない」というのは強弁であり、看過できない。この問題を熱心に取り組んだ吉川春子元参院議員は何度も韓国に行き、被害者の方から聞き取りをし、国会で取りあげています。実際、何人かの被害者が訪日し、勇気をもって詳細に語っています。私自身も学習会で吉川春子さんの話を聞いています。

 橋下市長は、「あるなら韓国に出してもらいたい」ということを上から目線で述べているようですが、当事者はすでに高齢であり不可能です。日本政府は責任をもって調査し、事実関係を認めています。もし、橋下氏が「証拠を出せ」と言いたいなら、韓国ではなく日本政府にモノを言うのがスジではないですか。侵略した被害国と性的奴隷とされた人びとに対して、「確たる証拠もな」くモノをいうのは良くないと思います。よく調べて2度とこのようなことを起こさない立場で言動してほしい。軽い発言で叱責されるような人間が政党をつくり、国政に進出するなら、穏やかではない。今後、橋下氏の言動を注視しなければならない!