17日間にわたる熱闘のフィナーレです。セバスチャン・コー会長は「誇り高き2週間は終わりになるが5輪の精神は世代を超えて引き継がれテイク。我々はやり遂げたという言葉で締めくくりたい」と述べました。204の国と地域からつどったトップアスリートの競い合いは、連日感動と興奮を呼びました。史上最多となる38個のメダルを獲得した日本選手の大奮闘は東日本大震災の被災者をはじめ、私たち国民を大いに勇気づけました。

 今回の特徴は団体競技の団結力とともに、自立した選手が増えてきたことです。そうした選手の自主性を促がす指導も定着してきました。28年ぶりにメダルをとったバレーボール女子の真鍋政義監督や、サッカー女子に始めてメダルをもたらした佐々木則夫監督をはじめ、選手を叱咤するより、話し合いを重視する指導者が主流になってきました。日本のスポーツ界では指導者に服従する体質が色濃く残っていましたが、そこに変化が生まれ、選手が主役となっていきいきと活躍する姿は次代の進歩です。

 日本選手の躍進の背景には選手強化の拠点であるナショナルトレーニングセンターの存在があります。2008年から本格利用が始まり、併設された国立スポーツ化学センターにより、他競技との交流も進み「チームジャパン」の意識も醸成されました。

 ロンドン大会では若者や女性の参加が強調されました。サウジアラビアから初めて派遣された女子のさら・アッタール選手が陸上800メートルで堂々とした走りをみせ、大きな歓声を浴びました。その姿は女性のスポーツ参加が遅れている国々の選手を励ますとともに、男女の差別をなくす世界をつくろうというアピールとなりました。

 聖火は4年後、ブラジルのリオデジャネイルへ引き継がれます。
【2012年8月14日付しんぶん赤旗に掲載】