健康で長生きすることは人類の大きな目標でしょう。日本は、誰もが必要な医療を受けられるという国民皆保険制度と科学技術によって長寿社会を達成したんです。高齢化と医療技術の進歩にともなって医療費が増えるのは当然なんです。ところが、小泉政権の市場原理主義路線によって、日本経済のためには医療費抑制が必要だという考え方が出てきた。この間違った政策で医療崩壊が引き起こされ、国民皆保険の維持が危うくなったわけです。そこで3年前、政権交代が起きたんですね。しかし、医療崩壊に歯止めがかからないばかりか、危険な兆候があると危惧しているんです。

 さらなる医療崩壊を招くと考えているのが消費税の損税の問題です。医療材料や医療機器の購入などには消費税がかかりますが、患者さんから消費税は取らない制度になっているので、全部、医療機関がかぶっているのです。大学病院規模でだいたい年間3億6千万円。税率10%になれば、その倍です。医療機器は消耗します。高額機器の更新、施設の補修、建て替えができず、医療が維持できません。<後略>
【2012年8月5日付しんぶん赤旗に掲載】

松下ゆたかのコメント 茨城県の医師会は一貫して自民党支持の態度を変えて09年の総選挙では民主党を支持して政権交代に貢献した。その民主党が公約を投げ出し裏切ったので、いまは斉藤浩(こう)会長のもとで市場原理主義路線と決別してまっとうな路線を歩みだした。環太平洋連携協定(TPP)参加反対では全国で初めて農協と共同戦線を結んだ。

 斉藤会長は「国民の命と健康を守る1点で主義主張を超えて共同するのは当然だと思うのです」と語っている。斉藤会長は「赤旗」投稿の最後に、次のように語っている。「みんなが平等に幸福を享受できるシステムを政策として出せる日本であってほしい。国民が、あるべき医療制度、税制を真剣に考えるべき重大な時期にきていると思います」と。