国連は7月5日に発表した通貨取引税や金融取引税、富裕層への課税、さらに炭素税などの課税措置で4000億ドル(約32兆円)の資金を確保し、温暖化対策など世界的課題に対処するよう提案しました。通貨取引税は、通貨の国際的取引に課税するものです。国連の試算では、主要4通貨(ドル、ユーロ、円、ポンド)の全取引にわずか0・005%を課税することで、年間400億ドルを確保できると見込んでいます。

 この制度の導入により、急激な資金流入による為替相場の高騰による輸出産業への打撃を防ぐことが出来ます。一方、低価格の輸入品による国内経済の混乱を防止します。為替相場の変動が多国間の貿易を著しくゆがめ、世界経済が不安定化することへの対策は急務です。

 報告書をまとめた国連の担当官も「金融市場の不安定性を和らげることに通じる」と、その効果を強調しています。国際連帯税は国境を超える特定の経済活動に課税して貧困や環境、感染症などの世界的課題に取り組むための資金を調達する国際的な税の総称です。

 貧困解消、温暖化対策などは待ったなしの課題です。ところが日本経団連は「国際連帯税の導入には反対である」(2011年9月、「税制に関する提言」)との態度を明らかにしています。財界いいなりの野田政権では、世界の潮流からますます取り残されることになります。
【2012年7月17日付しんぶん赤旗に掲載】

松下ゆたかのコメント 現在の危機は国際的な危機です。大多数の国民が飢えと貧困に苦しむ一方で、巨万の富を享受し、有り余ったマネーで石油や食物を買占める富裕層が肥え太っています。一国の対策では善処できません。国連の提案を国会で論議し、国際社会が歓迎する結論を出すべきです。野田首相は、こうした政策にこそ「命をかける」べきです。