いま、国会には13の政党があります。しかし、よく見ると“多党化”ではありません。国会のベテラン職員はこう指摘します。「共産党は別として既成政党、2大政党が民意に応えられていない。新党による多党化と言うより“破片”だ。その中で、毎週官邸前につめかけるデモに、若い母親が乳母車まで引いてやってくるような政治意識を引き起こしている。この動きを政治の言葉、政策に翻訳する存在がないと次のステップには進まない。政党政治そのものが問われている」。多くの政党はもともと自民党勢力であり、その片割れや補完政党にすぎません。つまり、自民党の“破片”に過ぎません。

 神戸学院大学の上脇博之教授(憲法学)はこう述べます。「2大政党制が崩壊していることは間違いないけれども、
共産党を中心とする革新勢力の前進をどうしても抑えこもうという力がまだ働いている。小選挙区制を維持させ、国民には小沢新党や『大阪維新の会』にだけ注目させようとしている。だからこそ、政治の本当の対決軸が、財界政治と日米同盟優先の転換にあるということを、国民にどう理解してもらうかが重要な段階になっている」。

 上脇教授はいわゆる“ねじれ国会”について、「事実上の大連立状態だからこそ、衆参のねじれではなく、国会の多数派と国民とのねじれこそが問題」と指摘します。「その原因は小選挙区制度であり、政党の本質の問題だ。結局、民主党も自民党と同じで、まったく違いのないことが分かった。こんな保守2大政党制は国民主権にとっても、国民生活にとってもプラスではなかった」と、断言します。

 民主党の政党支持率は下がり続け、7月の時事通信の世論調査では6・7%と最低。一方、自民党も12・55で2大政党合計で19・2%にすぎず、無党派層は71・4%と過去最大です。ところが国会の議席は、談合勢力(民・自・公・国民新)による衆院の議席占有率は82%(395議席)に及んでいます。

 国民の切実な要求の根本にある、政治の明確な対決軸を示す政党の前進と、民意を正確に反映する選挙制度が、政治の真の改革のためにどうしても必要です。
【2012年7月17日付しんぶん赤旗に掲載】