国連は5日、開発と気候変動など地球規模の課題での対策財源として、4000億ドル(約32兆円)を集めるアイデアをまとめた報告書を発表しました。このなかに10億ドル(約800億円)を超える資産をもつ大富豪(大金持ち)への課税を盛り込みました。

 報告書では、世界には10億ドル以上の資産をもつ大富豪が2012年初の段階で1226人おり、その平均保有資産額37億5000万ドルに1%の課税すると460億ドルの財源になると試算。これら大富豪は税金支払い後も、平均で37億ドル保有していることや、世界金融危機以前の20年間で年平均4%の割合で資産を増やしていることをあげ、1%が課税されても、大きな負担とならないと指摘しています。

 こうした一括課税方式は、公正かつ効果的な徴税方法であるとも述べています。一方、こうした徴税が、国際協力での財源確保手段としてはまだ認められていないとも述べています。

 今回の報告は、世界的な不況の中で、開発資金を提供してきた主要国で関連予算を削減しているため、新たな財源確保として、検討したものです。財源確保の方法としては、発達した工業国での二酸化炭素排出量に応じた課税、欧州連合(EU)提唱の金融取引税なども上げています。
【2012年7月8日付しんぶん赤旗に掲載】

松下ゆたかのコメント 私は、今回の国連のアイデアに大賛成です。「利潤の追求」が大原則の資本主義ワールドにとって、貧富の差は最大の病である。一方の極に膨大な極貧層が広がり、他方に富裕層が超え太っていく。ギリシャやスペイン、イタリアなど財政破たんの国が生まれて救済しても銀行支援では問題解決にはならないこともはっきりしている。また、国ごとの富裕層からの増税は、政治献金のゆがみなどで必ずもうまくいかない。有り余ったマネーが金融投機に使われても効果的な規制ができない現在、富裕層に一括して課税することは、即効性があり、大賛成です。