「世界一危険」と言われる普天間基地の「返還」合意から16年も経つのに、なぜいまだに実現しないのか。そればかりか、事故多発のオスプレイの配備を強行しようとするのか。日本共産党の外交ビジョン「日米安保条約をなくしたらどういう展望が開かれるか」は、こうした米軍基地問題の根本的な解決方向を示しています。

◆オスプレイ配備について米国は「日米安保条約の権利」と主張しますが、関連自治体の首長は全員が強く反対しています。沖縄県の仲井真知事は「断固拒否するしかない」と表明。「事件事故が起こったら、誰が責任を持つのか」「全基地即時閉鎖という動きにいかざるを得ない」と踏み込んで発言しました。すべての沖縄県民の怒りの声を代弁したものでしょう。

◆フィリピンでは20年前に基地撤去実現!
 フィリピンでは91年、米軍基地存続を認める新条約を上院が否決。これを受けてフィリピン政府が米政府に基地撤去を通告し、92年に米軍は完全撤退。スービック米海軍基地とクラーク米空軍基地を閉鎖・返還させました。南米エクアドルでも2008年に、翌年に期限切れを迎える同国西部マンタの米軍基地貸与協定を更新しない方針を通告。米軍は09年に撤退しました。

◆日米安保条約第10条に基づく通告で1年後に、日本国内の米軍基地は撤退されます!
 
日本共産党外交ビジョンは「すみやかな基地撤去を求めながら、日米安保をなくせばすべての基地をなくすことができるという展望を、大いに示していこう」と呼びかけています。安保条約をなくせば「米軍基地の重圧から日本国民が一気に解放される」ことになります。「アメリカの引き起こす戦争の根拠地から抜け出す」ことができ、「世界とアジアの平和にとって巨大な前進」をつくりだせます。

 安保条約をなくすのに米政府の同意は必要ありません。安保条約第10条は「いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意志を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行われた後、1年で終了する」と規定しています。

 日本が米国に条約終了を通告すれば1年後に安保条約は解消し、在日米軍はすべて撤退することになります。
【2012年7月3日付しんぶん赤旗に掲載】