日本航空が、会社再生の名のもとにベテランのパイロット、客室乗務員の大量解雇、警備部門の切り捨てを強行した後、事故やトラブルが多発しています。この6月、客室乗務員の職場で「カートの飛び出し・転倒撲滅キャンペーン」に取り組んでいます。今年4月に不安全事例対策として「特別安全キャンペーン」に取り組んだばかりですが、トラブルが止まらない字体になっています。

 日航は2年連続で史上最高の営業利益を更新し、20日に東京証券取引所に株式の再上場申請を行ったばかりですが、利益優先で安全が置き去りになっていないかが問われます。

 4月の「特別安全キャンペーン」では、尻もち事故をはじめパイロット、客室乗務員、整備などあらゆる職場のトラブル事例一覧が記載されました。客室乗務員の職場では、機内食カートが調理室から飛び出して約10㍍も滑走し、座席の間に挟まり止ったという事例が載りました。

 ところが、早くも6月には「カートの飛び出し・転倒撲滅キャンペーン」を呼びかける文書で「4月以降『カートの飛び出し、転倒』が複数件発生しています」と指摘しています。まったく再発防止ができていない実態が明らかになりました。。文書は「絶対に再生させてはならない重大な事象」だと強調。機内食が搭載されたカートの重量は数十キロにもなり、熱いコーヒーやスープが載っていることもあります。カートの転倒や衝突は、乗客の安全にかかわります。

 2010年12月末、日航は客室乗務員の削減目標660人(当初570人)に対し、762人も退職したのに、84人を解雇しました。その後、客室乗務員の退職が止まらず、2011年4月~12年3月の1年で574人も流出。乗務時間上限(月95時間)ギリギリまで働き、有給休暇も取得できない深刻な人員不足に陥り、年度途中に緊急の新規採用募集を行い、7月に510人が入社予定です。

 
日本共産党穀田恵二衆院議員の追及に羽田雄一郎国交相は「『利益なくして安全(なし)』ではない。やはり安全が第一、人命が第一だ」と答弁しました。また、穀田議員の質問に関して伴野豊国土交通委員会委員長は「航空業界の現場で安全にどういった変化をもたらしているか確認してほしい」と監督官庁に把握と報告を求めました。
【2012年6月26日付しんぶん赤旗に掲載】