【ワシントン=小林俊哉】米農務省は24日、米国内で4例目となるBSE(牛海綿状脳症)に感染した牛1頭が確認されたと発表しました。この牛は、西部カリフォルニア州で飼育された乳牛で、この牛の肉が市場に流通した事実はないといいます。

 同省のクリフォード主任獣医師は「食品供給や人の健康に害を及ぼす可能性はない」と指摘。「今回の事態が、米国の貿易に影響を与えるべきではな い」と強調しましたが、野田佳彦首相の訪米を前に、環太平洋連携協定(TPP)交渉の参加問題などで議論が高まる中で、米国産牛肉の安全性に懸念が強まる のは必至です。
 

 感染経路については不明のままです。同獣医師によると、問題の牛は「典型的なBSE」とは異なる「非定型BSE」に陽性反応が出たといいます。
 

 日本は米国産牛肉の輸入規制について現在の月齢「20カ月以下」に限定しています。今回の感染牛は月齢30カ月以上で、現状では日本への輸入対象にはなりませんが、米政府は、月齢制限自体の撤廃を求めています。
 

 米国ではBSE対策の全頭検査は実施されておらず、米農務省は、年間4万頭の牛を検査しています。米国内でのBSE感染牛の確認は2006年3月以来、6年ぶり。
【2012年4月26日付しんぶん赤旗に掲載】