野田佳彦首相の訪米を控えて環太平洋連携協定(TPP)に関する調査のために米国とカナダに派遣されていた民主党経済連携プロジェクトチーム(PT)の調査団(団長=桜井充同PT座長代理)が24日、PT役員会に対し90ページ余の詳細な報告書を提出しました。

報告書によれば、米通商部のマランティス次席代表は調査団との会談で、日本のTPP交渉参加には米国議会の支持を得る必要があると指摘しつつ、「例 外を最初から認めていくと例外だらけになってしまうので、米国は例外を持ち込まないという立場」を表明し、関税撤廃の例外を認めない立場を示しました。 「日米間の問題」は、「米国業界から要請のある牛肉、自動車、保険」だとして、解決策をみつけることが重要だと強調しています。

 また、キャンベル国務次官補は、日本の共済制度は「今後日米間で対話していかなければならない問題である」と言明。「今後10年、15年の間現状維持に甘んじていれば我々にとって悪いことになる」と圧力をかけました。
 

 米側は、公的医療保険制度について「変更させる意図はない」(マランティス氏)、「日本にルールを押しつけるということは全く考えられない」 (キャンベル氏)と説明。一方で、オバビー全米商工会議所副会頭やファザリー米日経済評議会会長は、公的医療保険制度や郵政などの制度について「交渉参加 国の合意の下に、国際基準の制度設計を求める」と言明。「国際基準」によって日本が制度変更を迫られる可能性に言及しています。
 

 ところが報告書には、混合診療の解禁などで日本の公的医療保険制度が事実上崩壊する可能性などについて調査団が米国側の認識をただした形跡は見当たりません。
 

 今回の報告書は相手側との質疑応答内容も含む詳細なもの。20日の同PT総会では、議員らに数枚の報告書しか配布されず、記者団にも具体的内容は明らかにされませんでした。
【2012年4月25日付しんぶん赤旗に掲載】