ドイツで、倒産した大手ドラッグストアの従業員・約1万1千人が解雇を迫られるなか、同国政府と16の州が23日までに、従業員の再雇用へ向けた職業訓練会社を設立することで合意しました。従業員は3月末に職業訓練会社に移籍し、再就職のための技術習得・職業訓練を受けながら、これまでの8割の給与を受け取ることになります。

ドラッグストアのシュレッカー(従業員3万人)は1月末に倒産。管財人は、全国5400のチェーン店のうち2200店舗の閉鎖と従業員・約1万1千人の解雇を決めました。そのほとんどは女性です。

ドイツでは集団解雇の場合、会社と従業員が、被解雇者の不利益を緩和する「社会計画」を取り決めるのが普通です。ところが今回は会社が倒産し、オーナー社長も個人破産を宣言したため、「社会計画」を実施できない見込みとなりました。

これに対し、統一サービス産業労組(ベルデイ)と企業内の労働者代表組織である事業所評議会が2月以来、「女性たちを救え」と訴える行動を全国数百ヶ所で展開。4日にはフォンデアライエン労働相が「職業訓練会社が(解雇予定の)女性たちを助けなければならない」と労組の要求に支持を表明し、労使の合意となりました。職業訓練会社は「社会計画」制度の1つで、集団解雇された従業員が再就職に向けた技術習得・職業訓練を行うため、一定期間設立される会社です。その期間の終了後も新たな就職先が見つからない従業員には、さらに失業保険が1年間、適用されます。

合意によると、会社側と各州政府が経費を負担し、解雇された従業員を半年間受け入れる職業訓練会社を設立。移籍した従業員には毎月、シュレッカーで受け取った最後の月給の80%が支払われます。一方で、解雇に応じない従業員は、労働裁判所で解雇からの保護訴訟を起こすことも可能。その場合には、解雇予告期間の3ヶ月間、それまで通りの給与を受け取れます。
【2012年3月25日付
しんぶん赤旗に掲載】

松下ゆたかのコメントさすがは資本主義の先進国ドイツです。カール・マルクスの出身地のドイツは「ルールある社会」を、しっかりと守っています。わが国でも労働者の闘いと国民運動を前進させ、雇用を守る「ルールある社会」をつくりたいものですね。