野田政権が「政治判断」で踏み切ろうと狙う原発の再稼働。国会論戦からその論拠を検証してみるとーーー。

■事故原因いまだ不明
野田首相は、「中間報告」をもって「一定の知見が出てきている」と開き直っています。しかし、井上議員が「原子炉や配管損傷は津波だけが原因か」とただすと「確かなことはいえない」(枝野経産相)、吉井議員が「大量の放射能を放出した水素爆発の原因をただしても「検証が終わっていない(斑目原子力安全委員長)と言わざるを得ません。

■安全確認ー机上の計算
「ストレステスト」は机上の計算でしかなく、安全性の保証にはなりません。斑目安全委員長も「安全評価としては不十分で2次評価までやっていただきたい」と答弁。深野保安院長は、ストレステストに関して燃料・冷却水菅などの実証実験は「実施していない」と答弁。

■規制できる機関なし
細野原発担当相は「信頼性は地に落ちている」と発言。そもそも保安院と安全委員会に、原発を規制する資格も能力もないことは原発事故や「やらせ」事件で証明ずみ。吉井議員が、原発立地の環境影響評価で不許可を下したことがあるのか質問すると、同省の白石淳一総合環境政策局長は「事業の是非に言及したことはない」と答えました。

■防災計画もこれから
政府は原発から半径10㌔としている事故対策重点地域を30㌔に拡大。しかし、これに対応した自治体防災計画は策定されていません。井上議員の質問に細野氏は「新しく法制度を発足させた上で6ヶ月ほどかけて新指針を踏まえた防災計画をつくっていただく」と述べ、防災計画の見直しはこれからだと認めました。

日本共産党は「『再稼働先にありき』の立場で、事故原因の究明もなし、規制機関もなしに、新たな安全神話をつくりあげ、原発再稼働をすすめることには断乎として反対」(志位和夫委員長)と主張しています。
【2012年3月20日付「しんぶん赤旗」に掲載】