私たちは、毎日、新聞やテレビなどメディアが流す膨大な情報のもとで生活しています。それでは、いま日本のメディアは健全な状態にあるといえるでしょうか。わけても巨大メディアが日本と世界の真実の姿を公正に伝え、また「権力のチェック役」という仕事を果たしていると言えるでしょうか。今日の日本の巨大メディアの問題点を、さまざまな角度から考えてみたいと思います。---これは、最近発売されたパンフレット「日本の巨大メディアを考える」(志位和夫著=定価100円)の書き出し文です。日本共産党中央委員会のホームページの『連続講座』(第11回「綱領教室」参照)。その中から、抜粋して紹介させていただきます。

①《日本の巨大メディアの社会的影響力》
◆日本の日刊新聞の発行部数は約5100万部。そのうち、5つつの大手全国新聞の発行部数は2600万部です。日本の人口の半数近い部数が発酵されています。第2位のアメリカは4900万部、第3位のドイツの2000万部と比較しても、大変な数です。

◆日刊新聞の読者率(成人人口比)はどうでしょうか。世界新聞協会(WAN)の調べ。--日本は92%で断然トップ。カナダが73%、ドイツが71%、アメリカが45%、イタリアが45%、フランスが44%、インドが37%、韓国が37%、メキシコが34%、イギリスが33%、トルコが31%、ロシアが11%。日本は世界で最もよく新聞が読まれている国なのです。

◆もう1つ重要な問題は、テレビです。日本のテレビには、ある異常な特徴があります。それは、読売新聞は日本テレビ、産経新聞はフジテレビ、朝日新聞はテレビ朝日、毎日新聞はTBS、日経新聞はテレビ東京、というように、大手新聞社とテレビ局が完全に系列化されてい増す。これを「異業種メディアの所有」(クロスオーナーシップ)といいます。放送メディアと新聞メディアという異なるメディアを、単一の営利企業が独占するというやり方です。日本ではこれが大手新聞と全国ネットのテレビとの間で、全国的規模で行われています。

・実は、このような「クロスオーナーシップ」は、欧米の先進国では見られません。なぜかというと、放送メディアと新聞メディアは、互いにチェックしあう必要があると考えられているからです。放送メディアが暴走したら、新聞メディアが抑える。新聞メディアが暴走したら放送メディアが抑える。「クロスオーナーシップ」では、そうした言論の相互監視、相互チェック機能、言論の多様性が失われる危険があるのです。

・ところが日本では、「クロスオーナーシップ」が極端な形で行われ、5つの大手全国新聞とその系列のテレビ局が同じ方向の内容の報道を、相互チェックもなく流し、国民の意識に圧倒的な影響を与えているのです。これが日本の巨大メディアの現状です。こういうがんじがらめの巨大メディアの構造が出来上がっている国というのは、欧米の先進国には他に見られない異常なものなのです。