日本共産党大門実紀史議員は14日の参院予算委員会で、東電福島原発事故の損害賠償金に対する課税は許されないと追及しました。安住淳財務相は「どういうことができるか考えてみる」と答弁し、課税方針の見直しを検討する考えを始めて示しました。

東京電力からの損害賠償金については、精神的苦痛や資産の損害に対する賠償金は非課税ですが、風評被害や出荷停止などへの賠償金は事業所得の収入金額とされ、課税対象になっています。

大門議員は「国にも事故の責任があるのに、なぜ賠償金に国が税金をかけるのか」という福島県民らの怒りの声を突きつけ、当時、財務相だった野田佳彦首相に対して、非課税にするよう求める福島県の要望を無視するのかと追及しました。野田首相は「課税しない方がいいものにはしないという流れの中で対応してきた」と答えました。

所得税法を課税の根拠にあげる財務省側に対し大門議員は、平時の民間同士のケースであり、国の責任が伴う大事故の損害倍所を想定したものではないと強調。東電の賠償金は実質的に「慰謝料込み」の金額となっており、所得税法で慰謝料は非課税だと指摘しました。

さらに大門議員は、賠償金の代替として国が支払った手当金を非課税にした例は過去にもあると追及。藤田幸久財務副大臣は、宮崎県の口蹄疫やオウム真理教、水俣病被害者に対する手当金などは非課税にしたことを認めました。大門議員が「国として判断すべきだ」「知恵を絞るべきだ」と迫ると、安住財務相は「気持ちは十分にわかる。どういうことができるか考えてみる」と答えました。

大門議員は「政府が判断すれば早い」と強調し、「されない場合は議員立法で非課税を実現する決意だ」と表明。他党議員も拍手で応じました。
【2012年3月15日付
しんぶん赤旗に掲載】