「市民ランナーの星」と呼ばれる川内優輝が、ロンドン五輪男子マラソン代表の座を懸け、26日の東京マラソンに出場します。昨年12月の福岡国際マラソンで日本人最高の3位。この時点で五輪代表は有望になりましたが、2時間9分57秒の平凡なタイムに満足できず「2時間7分台をめざす」と選考会への再挑戦を決めました。誰もが納得する内容で代表切符をつかもうとするのは、スタミナの最後の一滴までを使い果たす走りに似て、いかにも川内らしい。

川内は型破りな調整法を貫きます。福岡のわずか2週間後の再び防府でマラソンに臨み、2時間12分33秒で日本人トップの2位に入りました。「(公務員で)練習時間が短い自分にとって、レースは練習の一環。実戦感覚が養えるし、(実業団選手が練習で行う)40キロ走の代わりになる」と本番と練習に境界線を引きません。短期間に駅伝やハーフマラソンを走ることもいとわず、旧来の日本陸上界の「常識」を痛快に覆します。

年末は母校の埼玉・春日部東高の合宿に参加し「例年の2・5倍は走れた。大みそかは40キロ走をして、1月1日も練習した」。今月5日には香川丸亀国際ハーフマラソンで自己記録を更新しました。東京マラソンで「必ず2時間7分台を必ず出す」。思いは強まりました。視線の先に、ロンドンで世界の強豪と勝負する自分がいます。
【2012年2月25日付「しんぶん赤旗」に掲載】