「蟹工船」などを書いた作家・小林多喜二をテーマにした国際シンポジウムが21日、北海道小樽市で開かれました。多喜二の母校・小樽商科大学が主催したもので、中国や韓国、欧州諸国の研究者が集まり、23日まで分科会が開かれます。

21日夜は同市民センターマリン・ホールで記念講演会が開かれ400人が参加。米シカゴ大学のノーマ・フィールド教授が「小林多喜二を21世紀に考える意味」と題して講演しました。ウォール街で始まった貧困と格差拡大に反対する運動や深刻な原発事故をめぐる心配の声を取り上げながら、人間1人ひとりを温かく見つめた多喜二の言葉を織り交ぜ、生命と人権を尊重していくことの大切さを説きました。

近年「蟹工船」を翻訳した各国の翻訳者がそれぞれの母国語で小説冒頭の一節を朗読。「多喜二の時代は作家たちが国際的に深く結びついていたと感じます」「現代に指針になると多喜二の作品を広めるお手伝いができてうれしく思います」と語りました。

小樽商科大学の山本眞樹夫学長があいさつ。同大学の室内管弦楽団が多喜二愛好の曲だったブラームス「ハンガリア舞曲」などを演奏しました。

【2012年2月22日付「しんぶん赤旗」に掲載】