日本で「よく売れている薬」の価格は英国、フランスの約2倍、ドイツの1・3倍ー。日本の薬価水準が先進諸国と比べて依然として高く、医療保険財政を圧迫していることが、全国保険医団体連合会(保団連)と医薬ビジランス研究所の調査でわかりました。薬価は、健康保険で使用する医薬品の価格で政府が決めています。医療費の約3割を占める高い薬剤費の構造にメスを入れることは緊急課題です。

調査に携わった「日本の薬価問題プロジェクト2011」の小藪幹夫さん(大阪府保険医協会事務局)は、「総薬剤費の半分は、後発品のない先発医薬品、すなわち新薬(販売後平均12年)が占めています。ここにもっとも大きな問題がある」と話します。リウマチの治療などにも多く使われる免疫抑制剤、抗うつ剤、降圧剤、骨粗鬆症や高脂血症の薬など、いずれも日本が高いことがわかります。

保団連では薬価の国際比較とあわせて、日本の製薬会社がどれくらいの収益をあげているかも調査しました。医薬品製造業の過去10年間の総合的収益性をみると、「多額の研究開発費、販売管理費などの経費をすべて引いても、全産業平均の3~5倍というきわめて異例の高収益を上げている」と小藪さんは指摘します。

内部留保も巨額に上ります。売上高で業界トップの武田薬品工業の10年度の利益剰余金は2兆2721億円と突出しています。
【2012年2月12日付「しんぶん赤旗」に掲載】


松下ゆたかのコメント日本の薬価が高いことは以前から問題になっていましたが、今回の調査でも変わっていません。政府は医療費抑制のために国民負担の引き上げを狙っていますが、異常に高い日本の薬価にこそメスを入れるべきです。大手薬剤メーカーからの企業献金を続けている自民党、民主党に厳しい審判を下しましょう。