将来人口推計が発表されました。50年後の日本の総人口は8674万人に減少し、14歳以下は791万人(9・1%)、15歳~64歳が4418万人(50・9%)、65歳以上が3464万人(39・9%)-。推計が描いた未来です。子どもが総人口の1割を切る社会は、年齢構成のバランスを欠いています。少子化と人口減少は社会の活力を衰えさせる憂慮すべき事態です。

また、女性の「晩婚・晩産」「非婚」がさらに進み、結婚した夫婦の出世児数は2・07人から1・74人に減少するといいます。現状をそのまま投影すれば、厳しい未来しか浮かんできません。

しかし、国民の願いは違います。未婚者の9割が結婚することを望んでいます。未婚者・既婚者を問わず、希望する子どもの数は平均2人以上です。この意識は30年以上変わっていません。少子化は宿命ではありません。家庭と子どもを持ちたいという希望が実現できる経済社会に変革することが求められているのではないでしょうか。

自民党・小泉内閣の「構造改革」路線のもとで非正規雇用が増大し、低所得化がすすみ、子育て世代を直撃しました。出産後も働き続けるのが困難な職場、長時間労働も十分改善されていません。そして民主党・野田内閣が推進している「社会保障と税の一体改悪」は、子育て世代に容赦ない負担を迫るものです。消費税の10%への引き上げは、所得の低い若年層の生活を脅かします。「子ども・子育て新システム」は、保育所の待機児童解消にならないばかりか、親の経済力で保育の格差を作り出します。

子どもも高齢者も大切にされる社会でなければ、子育て世代は将来も安心できません。大企業優遇の政治をあらため、社会保障制度を拡充する政治へ転換することが、日本の未来を開くうえでますます重要となっています。
【2012年2月3日付「しんぶん赤旗 」の<主張>】