消費税増税や環太平洋連携協定(TPP)参加をめぐり、まるで「共同社説」のように同じ論調で政府に決断を迫ってきた大手メディア。当事者の大手メディア首脳が、そのことを自認し、TPPでは米国からも“おほめ”をいただく始末です。

◆「読売」の渡辺恒雄会長・主筆は、2012年の年始の賀詞交換会(5日)のあいさつで、次のように述べています。「消費税にしてもTPPにしても、全国紙のほとんどが論調を同じにして、前向きに推進しろとなっている。だから政治も早く決断すればいい」。

渡辺氏は、このなかで中曽根内閣が売上税5%の導入を検討した時、他紙が反対するなか、「読売」だけが賛成したとふりかえり、「他の新聞も少しずつ反省して、今度は消費税もTPPも全国紙はみな賛成に回って、現実主義的になってきた」(「新聞之新聞」20日付)と述べました。

◆米通商代表部(USTR)が実施した、日本のTPP交渉参加方針に対する意見公募には、米国内外から多くの要望が寄せられました。在日米国商工会議所もその1つです。同会議所は、USTRに提出した見解の中で日本の大手メディアがTPP推進を支持していることを取り上げ、その報道姿勢を歓迎しています。紹介されたのは、読売新聞社と日本経済新聞社。「読売新聞は日本のTPPへの参加は、アジア太平洋地域の統合に重要だとしている」と評価しています。日経については「1年以上にわたり、その1面で日本のTPP参加へ推進キャンペーンを行っている」と賛美しています。

日経主催の新春景気討論会(12日)で、TPPを推進する三村明夫新日本製鉄会長も、「(TPP参加に)マスコミも珍しく全面賛成だ」と大喜びでした。「権力監視」の役割を果たすどころか、TPP推進勢力から“おほめ”の言葉をもらっているのが日本の大手メディアの実態です。
【2012年1月30日付「しんぶん赤旗 」に掲載】

松下ゆたかのコメント

高度に発展した日本の社会。どこの商店に買い物に行っても、1種類しか売っていない商品はありません。ビールにしても、車にしても、テレビやカメラにしても、何十種類もの商品を用意してくれています。ところが、大手メデイアは数社あるものの「消費税」「TPP」「沖縄」「社会保障の負担」などではほとんど同一歩調で、国民世論に敵対しています。2大政党も同様で、「アメリカいいなり」「財界・大企業最優先」に凝り固まっています。

日本社会の閉塞状況を打開するためには、この「ガン細胞」を切除しなければならないと確信します。国民の願いにピッタリの「しんぶん赤旗 」と日本共産党 の政策をじっくり熟読してみてください。