「日本が農業関税を撤廃すれば、世界の飢餓・栄養不足人口が大幅に増加する」-。環太平洋連携協定(TPP)をめぐり、全国農業協同組合(JA全中)が13日、米通商代表部(USTR)に日本の交渉参加を認めないよう求めて提出した意見書でこう指摘しました。

意見書は、日本がTPPを受け入れ、農業生産が減少すれば、「食料供給を一層の輸入に依存せざるを得なくなり、国際的な食料需給はひっ迫し、食料価格が高騰することになる」と強調。日本がコメの需要の大半を輸入することになれば、現在、9億2500万人となっている世界の飢餓人口に加えて、新たにアジア地域で飢餓人口が2億7000万人増加する可能性があるとの専門家の試算を示しました。

その上で、このことは「日米両国も加わって合意した、貧困や飢餓に関する国際協定、例えば国連ミレニアム開発目標にまったく反するものである」と主張しました。

さらに、TPPが例外なき関税撤廃や参加国間の国内規制の厳格な統一を求めていることについて、「アジア太平洋地域における農業の多様性を損なうもの」だと批判しました。
【2012年1月17日付「しんぶん赤旗 」に掲載】