資本金10億円以上の大企業が保有する内部留保が266兆円に達することが全労連・労働運動総合研究所の調べでわかりました。前年度に比べ9兆円の増加です。大企業は、「国際競争の激化」「歴史的な円高」などと危機感をあおりながら、賃金引下げ、非正規雇用化といった労働者の犠牲で着実に利益を積み上げています。

企業ごとにみると、断トツに多いのがトヨタ自動車です。前年度より5874億円増の13兆8630億円になりました。キャノンは3271億円増の4兆3141億円、三菱UFJフィナンシャルグループは2009億円増の8兆6804億円です。

これに対して民間企業労働者の年間平均賃金は、2000年の461万円から2010年には412万円へと約50万円も減少しています。

日本経団連は、内部留保は生産設備や在庫などで保有されているとして、賃上げや雇用増にむけた活用に背をむけています。しかし、現金や預金などいつでも使える手元流動性資金は60兆円(上場企業)に達するなど、経団連nお言い分は成り立たなくなっています。
【2012年1月17日付「しんぶん赤旗 」に掲載】

松下ゆたかのコメント

日本社会のいびつな姿が年々ひどくなっています。「リーマンショック対策」と言っては銀行にカネをつぎ込み、「円高対策」と言っては賃下げやリストラをすすめ、野田内閣は、「これ以上、借金を増やすことはできない」と消費税10%への引き上げと社会保障の連続的な改悪を進めようとしています。その度に貧富の格差が広がり、いびつになって行くのです。これでは日本を良くすることは出来ません。

日本の大企業は、「自分さえ儲かればいい」という体質を正し、社会全体に責任を果たすべきです。大企業の発展が社員や関連企業に波及し、国民の利益に還元されることを望みます。そして、時の政権は政治力を使って冨の再配分を強力に進めることです。そのためにも政党や政治家は企業献金を受け取らず、私心なくがんばってほしいのです。