消費税増税と比例定数削減の強行に向けて「最強の布陣」とした野田佳彦首相の内閣改造(13日)を受け、大手メディアは14日、いっせいに増税支援の社説を掲載しました。自民、公明両党には「協議から逃げるな」と“3党体制”=事実上の大連立政治の構築を迫っています。消費税増税反対の国民多数の声を無視した“はじめに増税ありき”の横並び社説に、メディアの見識を問う声があがっています。

◆「読売」=「一体改革実現へ総力を挙げよ 自公は『消費税』から逃げるな」の大見出し。「与野党で政治を動かせ」とハッパをかけた。

◆「毎日」=野田首相が自ら説明の先頭に立ち、「火の玉のような熱意をもって局面を打開しなければならない」と激励。

◆「朝日」=「(岡田氏が)改革の先頭に立てるかどうかが改造内閣の命運を左右する」と奮起をあおる。

◆「日経」=「岡田副総理をテコに一体改革を進めよ」と督促。
【2012年1月15日付「しんぶん赤旗 」に掲載】


【日本ジャーナリスト会議の阿部裕事務局長の話】
消費税増税、TPP、普天間基地、原発再稼働で全国紙の論調の異常が目立ちます。琉球新報や沖縄タイムス、被災地の地方紙が、基地に苦しむ県民や被災地の住民に寄り添い、増税はとんでもないと主張しているのに対して全国紙は、被災地の実情をさておいて、アメリカや財界の「使い走り」をする野田政権をバックアップしています。ジャーナリズム本来の役割としては、疲弊した中小企業やシャッター通りの商店街、TPPに脅かされる農村の現場など、国民の暮らしに密着した取材を優先すべきなのに、全国紙は、それらを軽視しています。