日本航空にパイロットと客室乗務員の解雇撤回を求める裁判は19日、東京地裁でパイロット原告団の訴訟が結審しました。判決は来年3月29日の予定です。原告の原昌一さん(58)=副操縦士=が意見陳述。自衛隊員だった原さんは、自衛隊機パイロットの現役年齢が40歳前後だったことから、60歳の定年まで現役を続けられる民間航空会社に転職しました。防衛省と民間航空会社には、パイロットを「国家的財産」として有効活用するという合意があります。原さんは、「技術と経験を生かして、安全運航を全うしてきた。会社は安全運航が必要というなら、なぜベテランを解雇するのか。人間の尊厳を打ち砕く解雇だ」と訴えました。

原告代理人の船尾徹弁護士は、日航が解雇を強行した時点で史上最高の営業利益をあげており、稲盛和夫会長も「(解雇した)160名をを残すことは不可能ではない」と発言し、今年度も東日本大震災の影響を受けても大幅な黒字だと指摘しました。「労働者を解雇しても、損害を被った関係者への償いにはならない。むしろ労働者の力を生かしてこそ、貢献になる」と強調しました。

会社側は急きょ、結審直前に4人の学者の「意見書」を提出し、「今回の事例は、整理解雇法を適用せずに、解雇しても許される」という主張をはじめました。「整理解雇の4要件」に照らして解雇が認められるのかをお互いに主張立証してきた審理を最後にすべてくつがえそうとする卑劣な会社側主張に対して、原告側が抗議。渡邊裁判長は、会社側が提出した「意見書」は証拠として採用しないことを決めました。
【2011年12月20日付「しんぶん赤旗」に掲載】


松下ゆたかのコメント

小泉内閣以来の「構造改革」路線のもとで、労働者・国民生活への大ナタが下され、元気な日本がどこかに行ってしまった。財界・大企業の「儲かれば何をやってもかまわない」というゴーマニズムがはびこり、毎年3万人以上の自殺者が恒常化し、多くの国民は不安を大きくしている。

そうした中で、航空業界でも熾烈な安売り競争がすすみ、「安全2の次」をあおる稲盛和夫氏が日航の会長に就任し、ベテランパイロットと客室乗務員の大量解雇を行ったのである。御巣鷹山事故の再発を未然に防止するためにも、この裁判を勝利させなければならない。来年3月29日の判決で勝利を勝ち取り、“安全第一”でがんばってきたベテランパイロット・客室乗務員をあの空に返そう!