消費税率を引き上げれば零細企業の7割は消費税を販売価格に転嫁できないーー。消費税をめぐる厳しい実態が日本商工会議所など中小企業4団体の調査で明らかになりました。これ以上の税率引き上げは、価格転嫁できない中小・零細企業をますます増やし、経営を破たんさせるのは必至です。

調査は、日本商工会議所、全国商工会連合会、中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会が今年8、9月に実施し、9388事業者が回答を寄せました。調査によると現在、消費税を価格に「転嫁することができていない」事業者は、売上高1000万円~1500万円の事業者の64%(ほとんどできない事業者が38%、一部しか転嫁できない事業者が26%)。売上高5000万円以下全体で事業者の半数超が価格転嫁できていません。

消費税率をこれ以上引き上げられたら「転嫁できない」と回答した事業者は、売上高1000万円~1500万円で71%、売上高2000万円~3000万円でも64%にのぼりました。売上高各階層で「転嫁できない」事業者の比率は増えています。

売上高が小さい事業者に比べ、売上高10億円超の事業者では「転嫁できていない」事業者は32%です。事業規模が小さいほど消費税の転嫁できないことを示しています。同時に、消費税率が引き上げられた場合、売上高2億円以下全体でも、50%以上の事業者が「転嫁できていない」と回答。消費税が広範な中小企業に打撃を与えることを示しています。
【2011年12月19日付「しんぶん赤旗 」に掲載)】

松下ゆたかのコメント

消費税は買い物をするたびに、一般消費者から例外なく税金をむしりとるもので、庶民にとっては「毎日が納税日」になります。また、零細業者は消費税を価格に転嫁すると買って貰えないので「自分もち」になります。税務署からは「税金ドロボー」と追い立てられ、やむなく納税するか廃業するかの選択を強いられます。

一方、大企業はそっくり価格に転嫁出来るので痛くもかゆくもありません。しかも、トヨタや日産など輸出企業は、「輸出奨励金」という名目でトヨタ1社で1500億円もの税金(消費税)をふところにしているのです。消費税は「公平な税」ではなく、所得の少ない人ほど激痛を強いられる不公平税制です。民主・自民・公明3党で、強行しようと狙っています。国民的大闘争で、消費税の大増税を断念させましょう。