日米両政府は16日、在日米軍の法的地位を定めた日米地位協定の運用を見直し、米軍人・軍属が公的行事で飲酒した後に交通事故を起こした場合、日本で訴追できるようにすることで合意しました。

日米行政協定(地位協定の全身)に基づき結ばれた1956年3月28日付の日米合同委員会合意は、米軍人・軍属が「公の催事」で飲酒し、車で帰宅途中に交通事故を起こしても、日本側に1次裁判権(優先的裁判権)のない「公務中」の事故とみなすとしていました。今回、この合意から「(米軍人・軍属が)その出席を要求されている公の催事における場合を除き(公務中とみなさない)との文言を削除しました。

56年の合意(文書)は公開されていませんでしたが、国会図書館に所蔵されていた法務省の内部資料(72年作成)などで判明。日本共産党赤嶺政賢衆院議員 が2009年6月に国会で追及し、外務省は見直しの方向で米国と協議に入っていることを明らかにしていました。

玄葉光一郎外相から合意内容を伝えられた沖縄県の仲井真弘多知事は同日、記者団に「沖縄は治外法権に近い状態が続いている。ただちに地位協定の改定は難しいとしても、一歩、一歩、改善してほしい」と述べました。
【2011年12月17日付「しんぶん赤旗 」に掲載】

松下ゆたかのコメント

公であろうと私用であろうと「飲酒運転」それ自体が重大犯罪であり、日本人であれば即・運転免許停止、場合によっては解雇されます。ところが沖縄では戦後半世紀もの長きにわたってこの常識が通用しなかったのです。「一歩前進してよかった」などと喜んではいられません。福沢諭吉が「人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず」と説いてから140年経ちます。アメリカでは黒人開放の闘いを経て、現在、法の下での人種差別はなくなりました。沖縄の治外法権を許してきた自民・民主の“属国”主義とアメリカの大国主義に喝ッ!