「税と社会保障の一体改革」で社会保障がよくなるかの宣伝がされていますが、医療も介護も改悪ばかりのメニューです。しかも、それを口実に消費税も10%に増税しようというのですから言語道断です。年金は、これから受け取る人の支給開始年齢を引き上げ、すでに受け取っている人の年金も削ろうとしています。

厚生労働省のモデル年金(サラリーマン夫婦で月23万円)、支給開始年齢を70歳に引き上げると、40代以下の場合で生涯の年金が1400万円も消えてしまいます。10年間でさらに10%も減ります。年金はほとんど消費に回りますから、その削減は、地域経済にも大打撃を与えます。

04年の年金改悪の際、自民・公明政権は「100年安心」と言いました。それから7年しかたっていないのに、今度は民主党がさらに改悪しようと言うのです。民主党は野党のとき、支給年齢の引き上げに強く反対していたのに、政権についたら自公政権以上に冷酷無比で改悪しようとしています。「消えた年金」を大問題にしていた民主党が、今度は自ら年金を消してしまおうというのは許されません。

いま、年金財政が悪化している理由は何か?リストラや非正規雇用への置き換えによって、厚生年金の加入者は前年度比で20万人減少しています。賃金引下げで、加入者の月給は3%、ボーナスは8%減っています。その結果、保険料収入が減少し、年金財政に大変な悪影響を及ぼしています。年金積立金の株式運用も昨年1年間で3000億円の赤字で、年金財政を悪化させています。

日本共産党 は、世紀雇用を増やし、年金積立金をマネーゲームのリスクにさらすことをやめ、年金財政のおおもとを立て直すことを提案しています。さらに、安定した年金にしていくために国の負担を増やしていく。財源は、ムダな税金の使い方を改め、大企業や大資産家に適正な負担を求めることが必要です。

こうして、無年金や低年金を解消しつつ、最低保障年金をつくっていきます。200兆円の年金積立金も計画的に取り崩して給付にあてるべきです。税と社会保障の「一体改革」の実態を多くの国民に知らせ、これをやめさせるたたかいをひろげましょう。
【10月30日付の「しんぶん赤旗 」日曜版に掲載
                 =
小池晃政策委員長 談】

松下ゆたかのコメント

日本では、年金の受給資格は25年間ですが、ヨーロッパでは概ね10年間です。年金財政の流用などを許してきた歴代政権の責任はきわめて重大です。年金は、老後の「唯一の生活資金」であり、年金制度を改悪することは断じて許してはなりません。安定した年金制度を確立させるために、共産党 が参画する民主連合政府を早期に実現させましょう。ぜひ、「しんぶん赤旗 」を購読してください。