「人口1%の富裕層」が優遇される米国社会のあり方に抗議し、米金融界の中心ニューヨークのウォール街で始まった抗議活動は4週目に入り、全米に拡大しています。

<◆ロサンゼルス市議会が支持表明>
各地の活動の交流の場とされる団体「オキュパイ・トゥギャザー」は12日現在、最低でも全米1118の地域で同趣旨の活動が行われ、計画中のものは1367に上るとしています。12日にはウォール街近くで事務所清掃員や警備員が経済的不平等に抗議してデモ行進、参加者層もより幅広くなっています。「99%の庶民」の声が生かされる経済社会を要求する同活動のメッセージは、2大政党の政治に強い不満を持つ市民の共感を全米規模でじわりと拡大しています。

12日には、ロサンゼルス市(人口380万人)の市議会が、ウォール街での抗議活動に共鳴して同市内で始まった「オキュパイ・ロサンゼルス」運動を「支持する」とした決議を全会一致で可決しました。市議会による公的な支持の表明は初めてといわれます。

同運動は1日に約3000人が市庁舎へデモ行進して始まり、市庁舎の周辺に泊り込み運動を続けています。党派や立場を超えて市民が集まり、経済格差に抗議するアピールは、地元労組、公民権運動団体などの支持を次々ととりつけ、幅広い層の共感を呼んでいます。

2大政党の有力者も、この運動を無視できない状況となっています。一方、野党・共和党側は、同運動を「反資本主義」「非愛国的」などと攻撃を強めています。首都ワシントンでの抗議活動に参加しているジム・グッドナウさんは、そんな攻撃について、「彼らの言う資本主義は、戦争、大銀行の救済に巨額の税金を使い、市民のための施策は切り捨てるというもの。大企業からカネをもらって政治をしているなんて、冗談じゃない」と反論していました。
【10月14日付「しんぶん赤旗 」に掲載】

松下ゆたかのコメント金融不安はヨーロッパから資本主義の本家のアメリカに飛び火し、燎原の火のように広がっています。私は、「99%の声を聞け」というスローガンに示されているように、多くの民衆の苦しみの元凶が、格差社会を生み出す政治の構造=資本主義社会そのものに向き始めていることに注目しています。日本でも2大政党政治が破たんして、国民の政治不信は大きくなっています。飽くなき利潤追求が、一方に巨万の富を集め、他方に膨大な貧困層を生み出すかたよった社会の歪(ひずみ)を正すことにしか解決策はありません。「99%の声を聞く」政治を実現させるために、力をあわせましょう。