国会が、東京電力福島第1原発事故の原因究明や事故対応の検証を行うことになった。今回の事故には、世界中から厳しい視線が注がれている。政府から独立した立場で徹底した調査を行い、国際的な評価に堪え得る成果を上げてもらいたい。国会は民間の有識者10人で構成する事故調査委員会を次期臨時国会中に発足させる。国会に民間人による調査機関が設けられるのは初めてだ。委員会は、原則公開で調査をすすめ、半年以内に結果をまとめる。

政府をチェックするのは、国会の本来の役割だ。今回の事故原因の究明や被害拡大を防ぐうえで極めて重要であり、国会がその役割を果たすのは当然のことといえる。国会は、有識者の委員会に併せ、上部機関として衆参各10人の国会議員で「両院議員運営委員会合同協議会」をつくる。委員会の要請を受けて国政調査権を発動し、強制的に関係者を喚問したり、政府や自治体、電力会社などに関係資料の提出を求めることも出来る。

そうした強い権限を生かして、震災から原発の重大事故に至る経緯、菅直人前首相らの初期対応や東電側の対応、放射性物質拡散情報の開示が遅れた経緯などを解明するとともに、事故を防止できなかった過去の原子力行政の問題点にも踏み込んだ調査・検証を望みたい。

与野党は「党派的な立場から委員会を政治的に利用し、これに政治的影響を与えてはならない」と申し合わせた。それを厳守し、事故の再発防止という目的にかなう調査・検証が徹底されるよう協調すべきだ。

問題は、民間人の有識者10人も衆参国会議員20人についても「原発マネー」に汚染されていない正義感と使命感を併せ持った人選を成功させることである。いまだに、原発推進の立場に立って策動している輩(やから)がいるからである。日本と世界の将来に真に貢献できる機関の活動を注視しよう!