橋下徹大阪府知事率いる「大阪維新の会」が府議会に提出している「教育基本条例案」をめぐり、府教育委員(6人中5人出席)と橋下知事の意見交換が7日、府庁内で行われました。条例案は教育委員全員が批判しており、この場でも「これが政治介入か」と知事への厳しい意見が相次ぎました。

「教育行政と保護者の感覚がずれている」と橋下知事。「維新の会の議員は選挙で通ってきており、維新の会の雰囲気が世間の風」と開き直り。生野照子委員長は「私たちも民意を反映している立場だ。条例案は新聞で知った。これが政治介入かと思わざるを得なかった。(保護者の感覚というが)それがこの程度か」と語気を強めました。

「百ます計算」の実践で知られ、知事の肝いりで任命された陰山英男委員(立命館大学教授)は「条例案が通ると大阪全体の意思になる。子どもたちにかかわる重大な問題を1回や2回の選挙で決めていいのか」と反論。「教育委員の罷免が書かれているのを見て、私たちのやってきたことの転換だと思った」と述べました。

教員の5%を最低ランクとし、2年連続なら免職ができるという条例案で、知事は「民間は厳しい人間制度のもとで働いている」と発言。陰山氏が「民間企業でうまくいっているところがあるのか」と迫ると、知事は答えませんでした。

同じく知事任命の小河勝委員(大阪樟蔭女子大学講師)は、学校選択制や学力テスト結果の学校別公開、教職員の相対評価について破たん済みだとし、「現場で一番大事なのは連携だ」と述べました。「だったら対案を出せ」と気色ばむ知事。生野氏は、条例案を撤回するよう求めしたが、知事は撤回しないと突っぱねました。

2時間半に及ぶ意見交換の後、陰山氏は「過半数の力で一気呵成(いっきかせい)の力で根本的に変えていくのは、安定性が求められている教育を不安定にさせる」と批判しました。

【松下ゆたかのコメント】「教育への政治介入は厳に戒めなければならないのに、多数の力で強引に「条例案」を通そうとしています。府の教育委員全員をはじめ、多くの幹部職員も反対 しています。上から目線で統制を強化し、気に食わない者は排除していく。まるで戦前への回帰ではないか。
教育とは、学習と実践を通して認識を発展させ、真理に接近していくことであり、その過程を通じて学ぶ喜びを共有して健全な人間を育成していくことでもあると 考えます。橋下知事のやり方は、教育に最もなじまない乱暴な押しつけばかりの「強(制)育」です。まさに、大阪府民の「府民力」が試されている“大阪冬の 陣”の激戦です。