【10月9日付「しんぶん赤旗」日曜版の記事】
安全性よりも経済性が大事だったー。深刻な放射能汚染事故を起こした福島第一原子力発電所。その建設のさい、コスト削減のため、海面からの高さを当初案より10㍍低い海抜10㍍にし、今回、津波の直撃を受ける結果になったことが東京電力元幹部らの証言でわかりました。驚きの証言内容は----。.
1966年12月に建設が始まった同原発1号機。アメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)社が、原子炉の製造・据え付けから建屋の設計・建設も担当しました。当時、東電には原発の経験がなく、まったくの“おまかせ”状態でした。
<当初案は20㍍> そのGEの当初案は、海抜35㍍だった建設予定地を海抜20㍍まで削り、その高さに原発を設置する案。提案どおりなら、高さ約15㍍今回の津波でも被害が軽減された可能性があります。
しかしー。元東電幹部が語ります。「原子炉と建屋などはすべてGEまかせだったが、海抜20㍍という案は受け入れず海抜10㍍にした。今はそのまま20㍍にしていれば、と思うが・・・。そうしなかった理由は原発の運転コストが余計かかるからだ」建設経過に関わった元東電顧問は、さらにくわしい事情を証言します。
「原発には冷却するために大量の海水が必要だ。1号機だと1秒間に25トンも海からポンプでくみ上げる。もし、海抜10㍍ではなく、海抜20㍍の敷地にしたら、その高さまでくみ上げる動力費つまり電気代がうんとかかる。幹部からは“電力会社は電気をつくるところで、電気を使うところじゃない”と言われた。要するに、運転コストを判断して海抜10㍍にした」その結果、1号機から4号機まで海抜10㍍の高さに。津波対策で国の明確な基準がなかったことが、東電の“利益優先”姿勢を許すことになりました。
<建設費下げろ> 当時、福島第1原発の建設を担当した豊田正敏元東電副社長が、本音を語った記録があります。場所は、旧科学技術庁原子力局長を務めた故・島村武久氏が主宰する非公式の「研究会」(94年夏)。「原子力発電所とか再処理工場の建設費を下げることが一番重要なんです。それと稼働率を上げるということ」(原発の経済性を考えるのは頭の)隅じゃない・・・真ん中ですよ」・・・