ドイツの電気大手シーメンスのピーター・レッシャー社長は、18日発売の独週刊誌『シュピーゲル』で、同社が原発事業から完全撤退することを明らかにしました。独メルケル政権が2022年までの原発からの段階的撤退を決めたことを受けたもの。福島第1原発事故後、世界の主要メーカーが原発事業からの完全撤退を表明するのは初めて。本日付の「しんぶん赤旗 」の記事を紹介します。

レッシャー氏は同誌とのインタビューで、「今後、原発建設にはかかわらない」と強調。その理由として、「原子力エネルギーは使わないというドイツ社会と政治の明確な見解に対する企業としての答えだ」と語りました。脱原発世論の高まりや政府の撤退決定で、原発製造大手の同社も方針転換を余儀なくさせられたことを認めた格好です。

一方で、風力発電など再生可能エネルギーの国内シェアを20年までに35%にしていくというメルケル政権の政策について「100年に1度の大規模プロジェクトだが、達成可能であるし、支援していく」と語りました。

同社は風力発電や太陽光発電の事業も手がけており、今後は再生可能エネルギー事業を推進。原発用の蒸気タービンは、ガスや石炭など火力発電用に切り換えて製造をしていくといいます。シーメンス社は今年3月、フランス原子力大手「アレバNP」の持分をすべて売却。今回、ロシアの原発メーカー、ロスアトムとの合弁会社の計画も取り下げることを明らかにしました。