<逆境をバネに発奮するんです>
「問」-その、記者クラブ向けの会見なんですが、北電は26日に続いて30日夕にも大手メディアを集め、国主催のシンポでもやらせがあったと発表しましたこれも赤旗 は直接取材を認められなかったわけですね。

「答」-「当然ながら、一報を打った後も『国のシンポでもやった筈だ』という疑念があったので、引き続きそこを質していたんです。それもやっぱりノーコメント。会見前日の29日にも『よく調べてみないことには・・・』なんていう対応だったのに、ふたを開ければ思ったとおりやらせはあった。しかし、会見には参加させてもらえません。本紙(「赤旗 」)の報道がきっかけで明るみに出たことなのに、『記者クラブ向けの会見だから』というわけです。しつこく要求しているうちに、プレス発表資料だけは提供してくれるようになりましたけど」

「問」-対応は総務部ですよね。

「答」-「そうです。広報部ではない」

「問」-記者クラブ非加盟記者が広報に電話をかけても、総務に回されますよね。総務っていうのはつまり、報道対応ではなく″困った人対応”ですよ。北電は、記者クラブに入っていない取材者を記者とはみなしていないことになります。

「答」-「公益事業を担う会社としては、大いに問題がありますよね。一般の営利企業であっても、不祥事が発覚した際には消費者に説明する責任があるはずです。これは余談ですが、2002年に三菱ふそうのトラックが起こした脱輪事故で、当初は整備不良と思われていた事故原因が、実は構造上の欠陥だったんじゃないかという疑惑がありました。それが明るみにでたきっかけが、赤旗 の報道だったんです。その時はうちが一報を担ったということもあり、三菱は赤旗 の会見参加を認めたんですよ。ところがそれも、途中から出られなくなりました。名前はふせますが、大手2紙がクレームを寄せてきたんですね。『なぜ、ここに赤旗 がいるんだ』と」

「問」赤旗 に抜かれて後を追っかけてた社が、赤旗 を排除したと。会見は複数のメディアへの発表の場であって、特定の社の独占取材の場じゃないのに。

「答」-「もちろん、クラブはクラブで大事な存在だと思うんですよ。行政や企業に情報公開を迫り、広く国民に伝えるという重要な役割がある。ただ、そういう取材機会をできるだけオープンにしてもらいたい。本紙(「赤旗 」)が調査報道を本領としていることには、そうせざるを得ないという事情もあるんですよ。大手メディアのように特権的に情報を得ることができないから、地道に独自取材を重ねるしかない。いわば、逆境をバネに発奮して調査報道に打ち込む、という」

【松下ゆたかのコメント】
大変、重要なことが語られています。大手マスコミができない「スクープ記事」を、なぜ「赤旗 」が次々とヒットできるのか!その秘密を知りたい方は、あと数回の私の連載記事をみてください。