「介護を社会科する」はずだった介護保険制度がまともに機能していません。その最たるものが「寝た専賃」です。きょう付けの「しんぶん赤旗 」に掲載されて いる「ビジネス排し、尊厳守る介護を」を紹介します。要介護5か4で、口から食事をとれず、鼻やおなかに管を通す経管栄養のお年寄りだけを入居させている 施設です。「賃貸住宅」が表看板ですが、医療、看護、介護サービスからオムツの購入まで、設置者と一体の提携業者と契約することを強制し、設置者はそこか ら利益をあげる仕組みです。日本共産党の山下芳生参院議員 が3月の予算委員会で政府に実態調査を約束させ、厚生労働省が、その調査結果を公表しました。厚 労省の調査結果では、寝たきりで経管栄養など常時介護が必要な高齢者のみを入居対象にしている施設は、秋田、神奈川、岐阜、福岡の4県、10施設でした。 しかし、老人福祉法で立ち入り調査ができる有料老人ホームは一部に限られており、これは氷山の一角にすぎないとみられます。「寝た専賃」は、1日3回看護 師が来て順番にチューブで流動食を与えるだけで、食事の用意や人員も不必要、少ない手間で高い介護報酬を得られるのが付け目です。家賃より介護報酬を得る のが目的なので、介護度が下がり寝たきりでなくなると料金を引き上げる、病院に入院した場合は入居契約を解除するなどの条件を、入居時に承諾させていま す。生活保護受給者を囲い込み、家賃や食費の名目で保護費をピンはねする「貧困ビジネス」の介護保険版というべきものです。貧弱な施設で、食べる楽しみも なく、ただ寝たきりのまま最期のときを待つ高齢者は、あまりに悲惨です。高齢者の本来の「受け皿」である特別養護老人ホームの待機者は42万人、介護型療 養病床も廃止が続きます。行き場所を失った高齢者が「食い物」にされる状況を断ち切らなければなりません。人生の最期のときまで、人は尊厳と自立を守られ るべきです。金もうけ目的の施設がこれ以上広がることを許さず、行政は、施設の実態把握と厳格な指導を強めるべきです。さらに、良質な介護サービスを提供 する特養ホームなどの介護基盤整備を、緊急にすすめなければなりません。「だれもが安心して老後を過ごせる社会」は、世代を超えた国民の願いです。必要と する人が、必要な介護を受けられる公的介護制度を、いまこそ実現すべきです。

【松下ゆたかのコメント】
私の周りでも、介護に苦しんでいる人が沢山います。この問題を家庭内の問題とせず、本当に社会全体の問題として打開していくことが急がれています。政治の貧困を改革するために、力をあわせましょう。