世界では、さまざまな発想とアイデアで自然エネルギーが開発され、活用されています。きょうは、ドイツを拠点に活動する「デザーテック財団のティーモ・グロップ事務局長に、その展望を聞きました。「しんぶん赤旗」の記事を紹介します。

【「しんぶん赤旗」8月30日付記事】
・私たちは地球規模でのエネルギー転換をめざしています。化石燃料やウランから、太陽・風などの再生可能エネルギー、温室効果ガスを出さず、かつ安全なエネルギーへの転換です。ドイツのメルケル首相もこの構想を支持しています。多様な再生可能エネルギーを活用するなかで、砂漠での太陽熱発電を重視しています。

<蓄電が可能>
・地球上のすべての砂漠に降り注ぐ太陽エネルギーの6時間分で、人類の年間消費エネルギーはまかなえます。砂漠面積の1%に降り注ぐ太陽エネルギーがあれば、世界の電力需要は満たされます。太陽熱発電は、夜でも蓄電によって安定して発電できることが長所です。

・地球各地の砂漠での活用を展望しています。計画が始まっているのは、北アフリカ・中東地域です。ここでは2050年に、欧州で使用するのと同じ量の電力と飲料水が必要になります。太陽熱を活用して、海水の淡水化も進めます。

・この地域は紛争を抱えていますが、遅かれ速かれ民主化が進むことは避けられません。太陽エネルギーの活用で国際協力を進めれば、化石燃料をめぐる紛争もなくしていけます。さらに北アフリカ・中東地域は、欧州に電力を売ることで資金をえられます。50年には欧州の電力の17%を販売する計算です。欧州は風力発電の不安定性を北アフリカ・中東の太陽熱発電で補うことになります。

<大手も参加>
・財団創始者のゲルハルト・クニース博士は、1986年のチェルノブイリ原発事故の後に、エネルギー転換を考えました。その後、変遷をたどり、2年半前に財団が生まれました。いま、ドイツなどの大企業が参加しビジョンを現実化ています。原発に携わってきた企業も含め従来のエネルギー産業の企業も参加しています。再生可能エネルギーが主流と考えているからです。<記事終了>

【松下ゆたかのコメント】
・欧州とアフリカ、中東は地続きです。どの電力を選択するかは自由ですから、様々な国や企業が競い合って自然エネルギーを開発しています。欧州と北アフリカ・中東を結ぶ「電力網構想」を見ると、太陽熱発電、太陽光発電、風力発電、水力発電、バイオマス発電、地熱発電が網の目のように結ばれています。日本でも、早く原発依存をやめ、様々な自然エネルギーの開発を奨励できるようにしてほしいですね。