赤字国債の発行を可能にして今年度予算の財源を確保する「特例公債法案」の審議が始まりました。今年度予算で民主党政権は、財界言いなりに法人税率の引き下げを盛り込み、証券優遇税制も延長して大企業・大資産家に現在の大盤振る舞いを図っています。5兆円規模の軍事費を温存し、米軍「思いやり」予算は5年に渡って総額を維持するとアメリカに約束しました。他方で国民には、なけなしの年金支給額を削減し、少人数学級の予算を抑え、医療・介護の負担増を計画しています。

財界と米軍に奉仕する一方で、暮らしに冷たい本末転倒の予算です。それを支える特例公債法案を認めるわけにはいきません。民主党は2009年の総選挙で「国民の生活が一番」を旗印に掲げて政権に就きました。個々の政策には後期高齢者医療制度の廃止、子ども手当ての創設や高校授業料の無償化など国民の要求を反映したものも含まれていました。

しかし、国民が政権交代に託した自民党政治を変えてほしいという願いは、つぐつぎに踏みにじられてています。沖縄の米軍基地問題をはじめ、暮らしの面でも後期高齢者医療制度の実質存続、消費税の増税計画、TPP(環太平洋連携協定)の参加もんだいなど自民党政治と同じ道に戻っています。

さらに子ども手当ての「廃止」問題です。民主、自民、公明の3党は特例公債法案を成立させる取引材料として、子ども手当ての「廃止」で「合意」しました。日本共産党は子ども手当てなどの「現金給付」と保育園整備などの「現物給付」のバランスをとって、総合的に子育て支援に取り組むよう主張してきました。子ども手当ての議論で必要なのは、こうした子育て支援のそもそも論であるはずです。ところが3党は、もっぱら子ども手当てを政局がらみで特例公債法の取引材料に使って、もてあそんだだけです。

「3党合意」では現行の子ども手当ての支給額1万3000円が、3歳以上については1万円に減額されます。たとえば小・中学校の子どもが2人いる世帯では現行制度と比べて年間でマイナス7万2千円の影響があります。家計が冷え込んでいるときに、多くの家庭に実質負担増を押し付けるやり方です。

民主党の岡田克也幹事長は09年の総選挙の際に、民主党のマニフェストは「魂の結晶だ」と言っていました。子ども手当ては「国民生活が一番」と掲げたマニフェストの看板政策です。民主党は、その「魂」を売り渡したのです。そして、国民を置き去りにして、政策ぬきの「代表選挙」にのめり込んでいます。

2大政党政治に」未来はありません。国民が主人公の本当の政治の変革のために、力をあわせましょう。