農水省がこのほど試算した農山村の再生可能エネルギー試算によると、日本の年間総電力量の43%にあたる再生可能エネルギーがあることが分かりました。原発の2倍近い電力量にあたります。ただ、農地を17万㌶使う計画で、食料自給率向上との矛盾も指摘されています。「エネルギー需給がひっ迫しているなかで、初めて再生可能エネルギー試算をした」(同省環境バイオマス政策課)といいます。

自然・再生可能エネルギーの資源量試算では、日本にある発電設備の電力供給能力の約10倍、原発発電能力の約40倍もあうと環境省などが試算しています。農水省の試算は、農林水産関係の土地や資源に着目したまの。50万㌶近くの耕作放棄地や元農地の原野のうち、「農地への復元が可能」とする土地3万㌶も含めた17万㌶を太陽光発電や陸上の風力発電用地にあてます。

洋上の風力発電用地は34万㌶を見込みます。木材、家畜排せつ物から出るメタンガスなど農村のバイオマス(生物資源)利用、地熱発電、小水力発電を含めると、年間の総電力量は4250億㌔㍗が可能と試算しています。これは日本の年間総電力量およそ1兆㌔㍗の43%にあたるとしています。発電のとりくみは「地域経済の活性化に寄与」「地域でのエネルギーの地産地消に公権する」としています。

太陽光発電構想では、ソフトバンクの孫正義社長などが「メガソーラーシステム」として耕作放棄地などを利用し2・5㌶以上の大規模化施設を全国ですすめるとしています。農水省の試算でも「小口分散している耕作放棄地を集約し、効率を高める」と述べ、同じ方向を示しています。

環境省に続き農水省が「再生可能エネルギーの試算」を打ち出したことは歓迎します。ただ、食料とエネルギーは、日本の大切な「安全保障」です。農林関係者から出ている危惧=食糧不足の時代にあえて農地をつぶして太陽光発電をつくる必要はない」「食料供給が不安定になっているなかで逆行だ」という意見は重く受け止める必要があると考えます。私は、たとえば、農家では農作業場の屋根も広い。農地に影響しない小規模施設を数多くつくり、地域の活性化につなげる方向こそ理にかなっていると考えます。

いずれにしても、お役所も産業界も国民も、大いに知恵をだすことが大切ですね。