日本航空乗員組合と日航キャビンクルーユニオン(CCU)が、日航管財人の企業再生支援機構により、解雇撤回を求める争議権確立を妨害されたとして東京都労働委員会に救済を申し立てた事件で、都労委は3日、不当労働行為であると認定しました。日航に「行為を繰り返さない」と誓う謝罪文の掲示などを命令しました。

日航乗組とCCUの両組合は昨年11月、争議権確立の組合員投票を行っていましたが、支援機構幹部が「争議権を確立したら出資はしない」とどう喝しました。これについて都労委は「組合員に対して威喝的効果を与え、組合らの組織運営に影響を及ぼすものであり、組合らの運営に対する介入である」と認定しました。

両組合は当日、厚労省内で会見。小川和廣日航乗組委員長は、「会社は重く受け止め、命令に従うべきだ。不当解雇撤回裁判についても、会社は解決させるべきだ」と強調。内田妙子CCU委員長は、「命と安全を守る航空会社に違法行為があってはならない。解雇撤回も要求していく」と述べました。

都労委の認定は、昨年末の日航の解雇強行が、労働者と組合に十分な説明の努力をつくすなどの「整理解雇の4要件」を欠いていたことを示すもので、東京地裁の解雇撤回裁判に影響するとみられます。

日航の赤字の原因は、国内に必要以上の空港をつくり、赤字路線を増やしたことなど“国策”の犠牲にされてきた面が大きいのです。そして、この機会に「組合つぶし」を狙ったものです。ベテランパイロットを解雇して、安全運航の体制を破壊したことも由々しき事態です。東京地裁がこの企業犯罪を厳しく断罪されることを望みます。