民主党の安住淳国対委員長は7月30日のテレビ東京番組で、東日本大震災からの復興に関し「(被災者からは)知事は頑張っているというが、地方自治体の首長は、国からお金をもらって自分は言いたいことを言って、泥をかぶらない。この仕組みは何とかしないといけない」と述べました。

安住氏は、どういう意味で「泥をかぶらない」と発言したのでしょう。地方自治体の首長が、復旧・復興の遅れの責めを受けていないとの意味だとすれば、憲法13条(幸福追求権)、第25条(生存権)が定める国の責務を放棄し、地方に責任を押し付けるものにほかなりません。自治体が丸ごと流され、原発事故の被害も加わる今回のような未曾有の大災害では、地方自治体で対応できる規模をはるかに超えており、国が財政も含めて支援するのが当然です。

安住氏の地元は、甚大な被害を受けた宮城県石巻市。被災地の首長が文字通り「泥にまみれながら」、住民の命と健康を守るために努力しているのは百も承知のはずです。発言からは、それぞれの地域の実情を何よりも尊重し、国として応援していく姿勢は感じられません。

震災の以前から地方自治体は「三位一体改革」で財政が厳しい状況に追い込まれてきました。民主党も「地方財源が6・8兆円減らされ自治体独自の事業ができにくくなった」などと批判してきたはずです。

安住氏は、被災地での国政への不満について「政治家に短絡的に押し付けるのは乱暴だ」とも語りました。被災地の首長に対して「泥をかぶらない」と発言する方が乱暴ではないでしょうか?