「私は本当に反省として思っているのだけれども、1959年に当時の科学技術庁が委託をして研究を行った。もし、こういう事故が起こったらどうなるか。きちんとリポートが出されていた」-自民党の石破茂政調会長が6日の衆院予算委員会でこう述べて紹介した資料があります。59年、政府の調査委託で大規模原始炉事故の被害を予測させた“幻の報告書”。実は、それを暴露したのが、79年4月9日付けの「赤旗」報道でした。

問題の報告書の名称は「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害に関する試算」。日本初の原発が茨城県東海村に建設される直前の59年度に、炉心溶融(メルトダウン))が起きたときの被害を推定したものです。

79年4月9日付の「赤旗」によると、報告書が事故発生を想定した原発は電気出力で約15万㌔㍗。現在の100万㌔㍗の7分の1の出力です。それでも最悪の場合。「被ばくによる死亡者が数百人、放射線障害者が数千人、放射線障害者の恐れで要観察者が数百万人になるとし」「当時の国家予算に匹敵する1兆円以上の被害を予測しています」と報道しています。

石破氏は、この報告書を紹介した上で「この大震災、大津波はわれわれに何を教えているんだろうか。それは、逃げるな、あいまいにするな、物事は突き詰めて考えろ、世の中には絶対と言うものはない」と語りましたが、原発建設の最初から「安全神話」を振りまいてきた責任を本当に自覚しているのか、自民党からは反省の弁は聞こえてきません。

これほどの大災害を起こした政治責任、加害責任、結果責任をあいまいにしていてはダメです。被災者と国民はもう2度と自民党という政党に未来を託すことはできないでしょう。51年前の資料を紐解いたまでは敬意を表しますが、この問題の本質的な謝罪と反省ができなければ、自民党という政党の正味期限は切れたと断じざるを得ません。石破氏に喝つ!