スペイン・アンダルシア州には「ヘマソーラー」の他にも太陽熱発電所が次々建設されてきました。その1つが「PS10」。2007年に集光型タワー式太陽熱発電所としては世界で初めて商業運転を開始しました。隣接する「PS20」は、「PS10」の2倍の規模。09年に操業を始めました。

欧州初のパラポリック・トラフ式発電所も同州で同年から稼動しています。曲面状の反射鏡でチューブに光を集め、チューブを通る油に熱を伝えて湯を沸かし、発生した蒸気で発電します。

同州が太陽熱発電所建設に熱心な理由は何でしょうか。州政府エネルギー局のマリア・コりネット氏に尋ねると、「資源があるからです。それは太陽です」と即答しました。

スペインは化石燃料のほぼすべてを購入に頼っています。従来型の発想なら“資源小国”。一方、同州では年間の晴天日数が300日を超えており、太陽光を資源と考えてれば資源は豊富です。

一方、セビリア大学のマニュエル・シルバ教授は、スペインで太陽熱発電に関する研究が積み重ねられてきたことを強調します。

スペインの太陽熱発電の研究が本格化したのは1973年、イスラエル・アラブ戦争後に石油価格が高騰したのを受けてのことでした。最初の研究用へリオスタット(反射鏡)が78年、アンダルシア州アルメリアに設置されました。

その後80年代に石油価格が安定し、太陽エネルギーへの関心が世界的に薄れたなかでも、同州ではドイツとの協力で研究が続きました。

「降り注ぐ太陽光があります。これを使わない手はないでしょう」とシルバ教授。「太陽には化石燃料よりも持続性があり、需要を満たす大きな潜在力もあります」と語っています。資源のない国=日本といいますが、太陽は無限にあります。スペインに学んで、大いに自然エネルギーをつくりましょう。雇用と産業を育てましょう。