首都マニラから直線距離で80㌔、海岸近くに大きな建物があります。バターン州モロン町にあるバターン原発(免責357㌶)です。原発のそばには活断層があります。出力62万㌔㍗の予定で1984年に完成しましたが、一度も稼動することはありませんでした。

原発の経緯は日本と似ています。当時、巨大な米軍基地を置いていたフィリピンは、米国の政策に追随し原発を推進してきました。76年に独裁政権のマルコス大統領が戒厳令下で米社と契約、バターン原発の建設に着手しました。着工時の見積もりは6億ドルだったのに、完成時には23億ドルに傍聴。高く売りたい米企業とわいろがほしいマルコス大統領が結託した結果だったと指摘されています。

その後、いろいろの経過がありますが、国民の反対運動の前進で、完成後27年間、使われていません。いまは、観光施設になっているそうです。まさに、独裁政権が買い込んだ「無用の長物」です。

人間が発見した「火」と「原子力」ですが、原子力は未完成の危険物=放射性廃棄物を無尽蔵に作り出すことははっきりしています。この「危険物」をこれ以上生産し、未来の人類に脅威を与えるのか?いま、真剣に考えるときではないでしょうか?