「副作用がなく夢の新薬」などと宣伝して819人の死亡者を出した肺がん治療の抗がん剤=イレッサ訴訟で、東京と大阪の両地裁は1月7日、和解勧告をしめしました。

 裁判所は国と製薬メーカーにたいし、「和解金を支払い」「原告と誠実に協議すること」を求めています。


 原告団代表でさいたま市北区在住の近澤昭雄さんは、「提訴から6年間訴え続けてきてすごくホッとしています。被告は和解勧告を受けてほしい。がん患者の救済制度の創設も含めて実現してほしい」と述べています。



 私は、数年前に近澤さん宅を訪問してお話を聞く機会がありました。病気を治してくれるはずの「薬」に、最愛の娘さんの尊い命を奪われた深い悲しみ。そして、遺族の皆さんの先頭に立って、全国を飛びまわって活動した近澤さん。ほんとうにご苦労様でした。


 折りしもB型肝炎訴訟についても、札幌地裁が「和解案」を示しました。本来「薬害」などあってはならないことなのに、薬害にあった患者さんと家族の苦労は大変なものです。2度と薬害を発生させないためにも、根源にしっかりメスを入れてほしい。