「答えが見つかるまで考え抜く技術」
表三郎
元学生運動の指導者で、人気予備校講師である著者が書いた「考え抜く技術論」。
「考え抜く技術」というタイトルがついてはいるが、著者のこれまでの経験と思考の結果
をまとめた「私の人生論」といった内容になっている。
1. 人間の一生は「問い」のレベルに応じて決まるといっても言いすぎではない。「どうすればこの
仕事を成功させることができるか」と真剣に問うた人は、いずれ成功の果実を手にするに違いない。」
2. 「問い」があるからこそ、人は考えるのだ。「問い」もないのに考えるということはありえない。それは、
考えているつもりで、ただ思い悩んでいるだけだ。
3.「問い」には二つある。自分の人生にかかわる「問い」と、、好奇心にかかわる「問い」だ。
4.自分は何が好きなのか、自分は何を求めているのか、そして、自分はどのような人間に
なりたいのか。いま一度、掘り下げてとことん考えてみるべきなのだ。このことを自覚していない
人間に、およそ考え抜くことなどできるはずはない。
5.禅の思想のなかに「不立文字」という考え方がある。まさに「文字で理解することはできない」
という意味で、つまり、言語世界というのは私たちが了解しあっている世界の一部に過ぎないこと
を表している。かんたんにいうと、真理は言葉では表現できない、ということだ。
6.ルールに対して感じた、違和感や疑問は大切にした方が良い。
7.「問いを立てる」とは、別の言葉で言えば、情報をキャッチするためのアンテナを立てる
ということである。
8.学者や学問が持つ一つの欠点は、言葉を駆使した抽象概念がひとり歩きすることにある。
経験というものに裏打ちされることなく、抽象論の世界だけで論じられる。経営者から見て、
経営学者の言葉が響いてこないのはそのためだ。逆に体験したことの意味を言葉に置き換え
られない人は、その体験を次に生かすことができない。例えば、これまで全く売れなかった商品
があるとき売れたとする。いったいなぜだろう。その理由を言葉に置き換えられることができた
営業マンは、次の仕事に生かしていくことができるはずだ。
9.体験をコンセプト化し、そのコンセプトを体験に生かしていく。この回路を何度も何度も
行き来して太くしていくことで、考え抜く力も養われてくる。
10.スランプに陥ったら、スパッと頭を切り替えて、その日は勉強(又は仕事)をやめてしまった
方がいいのだ。イライラしながらやるよりも、思い切って休んだ方が翌日から能率も上がるものだ。
11.無駄に長く考えることは、不要な資料を集める作業と同じである。
12.私は授業に入る前に、いつも教科とは関係のない話をする。そのときどきの社会の動きに
関する話だったり、あるいは芸術の話であったり、生徒の気分をリフレッシュさせるような話をす
るわけだ。
13.同じ業界の人間と共通言語でばかり話していると、考える枠組みが、知らず知らずのうちに
その業界の枠組みになってしまう。そうならないためには、できるだけ異分野の人間と話をする
ことだ。高校時代の友人とのみに行く。異業種交流会に参加する。仕事とは関係のない分野の
講演会を聴きに行くなど、方法はいくらでもあるだろう。軽い思いつきでフットワークよくでかけて
行くのが良い。
14.日記をつける際に、自分の行動の記録をつけておくと、生活パターンの把握になり、後々役に立つ。
行動を記録することで、生活のパターンやリズム、思考の軌跡の背景が記録される。例えば一つの
プロジェクトに取り掛かったとする。それを最初から最後まで記録しておくのだ。いつ、どのように始動
したのか。いつ問題が起こり、そのとき自分はどのような行動を取ったのか。全く感情移入することなく、
淡々とみずからの行動を記録しておくと良い。
15.学者の論文が人の心に響いてこないのは、言葉が難解すぎるからである。
16.人は、自分の使っている言葉を通して世界を見ている。だから発想が枯れたときには、
言葉を変えないとダメだ。
17.ハッタリのない人生は、本当につまらないと思う。ハッタリをかます生き方には、じつは人間の
可能性を大きく広げる秘密が隠されている。
18.人生というドラマの中でチャンスが顔をのぞかせるのは、ほんの一瞬なのだということを知っておいた
ほうがいい。「千載一遇のチャンス」という言葉があるが、チャンスがくるのはほんとうに千載一遇なのだ。
多少の不安があってもかまわない。もしかして失敗するかもという気持ちがあってもいい。何かを頼まれた
ときには、「だいじょうぶです。私がやります」自信に満ちた表情でいってみるのだ。
19.人から認められたり、信頼されたり、あるいは愛されたりすることで、自己評価は高まっていくのだ。
20.クリエイティブな発想は、ルールを壊し、ルールを乗り越え、みずから新しいルールを作っていくことから
生まれるのである。それにはとてつもなく大きなエネルギーが必要とされる。残念ながら、スマートな人間には
、そのエネルギーが欠けている。
21.ノーベル賞を受賞した田中耕一さんは、東京大学でトップだったというのではなく、東北大学で留年している
ような人だから、既存の枠組みの中では決して優等生ではなかった。だからこそ、研究者として超人のような
業績を上げることができたのだ。
22.ずる休みは必要だ。スランプになると、どうしても視野が狭くなりがちだ。目先のことを解決しようと必至にもがく
あまり、ついまわりにが見えなくなってしまうこともある。現実から一歩下がることによって、事態が客観的に見えて
くる。みずからの手法のまずさもクリアになってくる。スランプというのは、一つの物事が飽和した状態だと考えること
もできる。一つの容れ物があふれそうになっているのだから、次の容れ物を用意しなければならない。同じ容器に
入れ続けるのはムリだ。その容器を入れ換える時間が、要するにズル休みの時間なのである。
23.子供はお子様ランチをデザートから食べる。一番好きなものを一番優先しているのだ。自分がいま一番好きなこと、
いま一番やりたいことに早く取り組まないと、年月はあっという間に過ぎ去っていく。もっと衝動的に生きてみることで、
発想の幅と奥行きが広がってくるのが実感できるはずだ。
24.語学は若い頃にしか、身につかない。そのような神話がまかり通っている。もちろんそんなものは全くの
でたらめで、実際私は最近になって中国語の勉強を始め、毛沢東が書いた原書を読めるレベルにまでなった。
25.三ヶ月やり続けることができたら、どんな分野でも間違いなく基礎はマスターできる。そして三年間続ける
ことができたら、今度は楽しくて止められなくなる。
26.人には本来、さまざまな役柄がある。それは役割という言葉にも置き換えられるだろう。よくないのは、
自分の役割はこれだと、一つの役柄に限定してしまうことである。その思い込みが、本来あったはずの多くの
可能性を奪うことになってしまうのだ。それよりも、もっと多くの役を演じてみること。自分が他社になれるという
のは、立派な自己解放である。
27.あなたはこれから、どんな『問い』をもって生きていきますか?
28.考え抜く人生をいきていくには、あたまの良し悪しは関係ない。必要なのは、その覚悟があるかどうか。
ただ、それだけだ。それは、楽な道のりではないが、人生を面白くしてくれることだけは確かだ。
29.人はなりたいものに引き寄せられるようにして、なりたいものになってしまうのだ。覚悟を決めて、仕事の
できる稼ぎまくる男になると、心に決めれば、必ずそのようになる。しかし心の底に疑いがあれば、そはならない。
それはそうならないことを自分が望んだから。