《中国最新情報》10周年スペシャルインタビュー 2 | 《中国最新情報――編集者コラム》

《中国最新情報――編集者コラム》

メールマガジン《中国最新情報》の編集者コラムを移植したものです。

《中国最新情報》10周年を記念し、編集長の李さんから質問に答えてみました。


1 前野さんの、中国との関わりのきっかけを教えてください。中国って、前野さんにとって、どのような「存在」でしょうか。

 初めて行ったヨーロッパ旅行でのことです。レストランに行けば隣の白人と同じメニューなのにひどい料理を出され、お店に行けばひどい接客態度をされ、どうも差別的な扱いを受けていることに気がつきました。一緒に行った友人は激怒し、がっかりしている私を中華レストランに連れていきました。彼女は中国に留学したことがあって、中国語ができたのです。
 こんなところよりも、中国の方が絶対楽しい、ヨーロッパ男よりも中国男の方が優しいし、しかもあなたは中国人そっくりだし、中国に行けばあなたのような外見の人がわんさかいる、だから中国に行こうと。変なきっかけでしたが、その場のテンションと勢いで、じゃあ行ってみようかと決めたのでした。それがきっかけでした。

 私にとって中国はどういう存在かというのは、余り難しいことを考えずに言えば、仕事ではなく趣味のカテゴリーの一つであり、それに派生するさまざまなことで恩恵を受けたし、嫌な思いもした、そんな存在だと思います。


2 このマガジンの編集者になったきっかけ、募集の動機を教えてください。

 私がこのメールマガジンにかかわった年、ちょうど内閣府の日本・中国青年親善交流事業なるものに参加しました。その後、この事業に国のお金で派遣されたのだし、自分に投じられた税金分の働きをと考えたことがきっかけです。忙しい自分にできることで、何か日中交流で還元できることがないかなと思ってやり始めました。
 ただ、当初はここまで大変になるとは想像もしていませんでしたし、ここまで続けるということは考えていませんでしたね。


3 メールマガジンを編集・発行し続けてきて、最もつらかったことは何ですか。最も得たものは何ですか。

 読者数が数千人というメールマガジンである以上、《中国最新情報》はメディアであるという感覚があります。ボランティアとはいえ、メディアであるから、ちゃんと発行することだけは壊してはいけないと思っています。
 最もつらかったことは、ボランティア間の連絡のふぐあいです。編集して発行するからには原稿がないと始まらないのですが、結局、原稿が届かず、自分で記事を探して急いで自分で翻訳し、リリースするということも何度かありました。
 最も得たことは、質のいい翻訳を見ているうちに翻訳する方法がわかったことです。


4 このマガジンと他の中国関連情報との差別化をどう図ろうと考えてきましたか。

 このメールマガジンは週刊でやってきているので、速報を争うメディアとはまた違う情報の出し方があると思います。《中国最新情報》ではその週の中で多く報じられたものの中から「興味深い」ものをピックアップしているのが、ほかのメディアとは違うところでしょうか。
 差別化というほど大したものではないのですが、ほかのメディアが出しにくいものにも挑戦していこうと意識しています。例えば、金融に関する記事です。ほかのメディアで金融に関する記事が少ないように思うからです。
 それから、最初のうちは諸政策や方針を記事にすることが多かったように思いますが、これらは現在ではほかのメディアが報道しているため、最近は現象面からとらえる記事を掲載しています。現象面の記事は長目になるためか、各メディアは取り上げないか相当要約して報じているように思うからです。


5 長い間支えてきたボランティアの編集者の皆さんには何を伝えたいですか。

 《中国最新情報》が発行され、10年のうちの後半5年間は、自前で翻訳してそれを発行する形態をとってきたわけですが、その中でかかわってくださっているボランティアの翻訳者の皆さんには、本当にお世話になり、ここまで続いたのはボランティアの翻訳者のおかげだと思います。
 私にもやれることには限界がありますが、ボランティア翻訳者の方がちょっとした励みにしてもらえるような、ボランティアをおやめになっても応援してもらえるようなメールマガジンでありたいと思っています。


6 毎回、編集者コラムを書いていますが、その内容を選ぶ基準や伝えようとするメッセージの共通した特徴は何ですか。

 あいにく、コラムについては、難しいことは全く考えていません。
 むしろ、《中国最新情報》などと仰々しく名乗っているこのメールマガジンは企業が業務として粛々と発行しているのではなく、実際にはボランティアで中国に興味がある決して専門家ではない個人たちによる作品を読者様に提供している、そういう「手作り感」を見せたいというのが、書き始めたきっかけでした。
 もうそろそろやめてもいいだろうと思っているのですが、なぜか、ここだけを読んでいる読者様がいらっしゃるようなので、当分継続していこうと思います。