こんばんは。
神谷です。
喜多川泰氏の『おいべっさんと不思議な母子』を紹介します。
実に楽しい本でした。
主人公は日高博史。
女房には、三年前に逃げられて、
そのせいで、一人娘の七海とは微妙な関係の小学校教師。
小学校でも、PAT副会長の母と、市議会議員の父を持つワガママな児童を受け持ち、胃痛のする日々。
そんな、学級に一人の不思議な転校生がやってくる。
体は小さいが、肝は座っている。
話す言葉は何やら古風。
小学校6年生なのに、転校のあいさつで、
俺は、石場寅之助と申す。
新参者にて、分からぬことも多くあるが、以後、よろしゅうお頼み申す。
A(^^;;
・・・・
という感じで、始まります。
今までの、喜多川泰氏の作品と違って、教訓的な文章はあまりありません。
難しいことを考えることなく、すー・・・と読める感じです。
喜多川泰氏自身も、あとがきで、
「現代の教育が抱える問題点を指摘し・・・・」なんてことは毛頭考えていない。一つの「娯楽小説」として純粋に楽しんでもらいたい。
と語っています。
そして、ここが面白いのですが、
著者が言うのもおかしな話だが、「娯楽小説」にしては、たいした事件は起こっていない。
確かに、本当に、たいした事件は起こっていないのです。
ただ、主人公の日高博史に感情移入すると、とーっても大変な事件が次々起こっているような感じになるから、喜多川泰さん上手ですね^◇^b
最後には、「おーっと、そう来るか」と思う結末も用意されています。
『母さんのコロッケ』という不思議な小説を書いた喜多川泰さんですからね。
楽しめますよ。
読み終わった後は、さわやかな気持ちになります。
もしかすると、昔の自分を思い出すきっかけになるかもしれませんね。
教訓的な言葉がほとんどないと言っても、喜多川泰さんの作品ですから、心に残った言葉があります。
日高博史の娘七海がある事故を起こしてしまい、そのことを当事者に謝りに行った時のことです。
その事故で、捻挫をさせてしまった女性が、七海にかけた言葉です。
あなたはいい経験をしたのよ。
運が悪い子はね、悪いことをしても見つからないのよ。
あなたくらいの年齢の子供たちは、いろんな失敗をするものよ。
ときには、今回のあなたみたいに、調子に乗って、羽目を外し過ぎてしまうこともある。
運が悪い人は、それでも大人に見つからなかったり、誰かに怒られたりしないで、それが楽しい思い出になっちゃうのね。
だからそれを繰り返す。
繰り返しても、繰り返しても見つからないし、怒られない不運な人はどうなるかわかる?
見つからなければ悪いことをしても大丈夫だと思い込んで、ずっと後になって取り返しがつかない失敗をするまで気づかないのよ。
ちょっと、怖い話ですね。
子どもに限ったことではありません。
これって、誰でも少しは、身に覚えがあるのではないでしょうか?
仕事で、ちょっとした失敗をしたけど、それを隠していて、後で話が大きくなってばれてしまった・・・
ちょっと、胸がうずきましたorz。
喜多川泰さん相変わらず、うまいなぁ・・・・
