台湾に行った。

 

 

数年前から海外に憧れを抱いていた僕は、

メキシコ、モンゴル、中国、インドのうちのどこかに行き、

カルチャーショックを受けたいと思っていた。

 

しかし、今年の3月に大学の卒業旅行という体で

メキシコに住んでいる叔父に会いに行こうとしたところ、

母親に泣きながら止められてしまったため、行くことを断念してしまった。

 

「行きたい国以外行きたくない」という自分の意思を曲げたくなかったが、

先月、父親から一緒に台湾に行くかと誘われた。

自分がこの家に住んでいる以上、初めての海外旅行で上記四カ国には行けなさそうだし、

何より今回の誘いは旅費が無料だったので、

台湾に行くことを決意した。

 

 

暑いし臭いしうるさかったけど、

旅行の日程は父親が決めていたし自由時間も少なかったので、

今回の旅行に対してはあまり期待を抱いていなかったから

あまり残念に思わなかった。

 

 

だからそんなに楽しくなかった。

だけど、とてもいいところだった。

 

 

台湾の街中を歩いているとあることに気がついた。

 

可愛い人やかっこいい人、オシャレな人がいないのだ。

台北、台中、台東のどの街を歩いてもいない。

たまたま見かけなかっただけかもしれないが、

台湾に人たちは他人の目線など気にせずに、

好きな服を着て、好きなものを食べ、好きなように暮らしているのだろうと感じた。

もしそれが本当だとして、

僕の場合は周りの目線を気にして生きていたから、

そのことが本当に羨ましかった。

 

 

そんなことを考えていたら、

マッチングアプリで出会ったある女性のことを思い出した。

彼女は日本の演劇が好きで、演劇業界の技術スタッフの仕事をして暮らしている

30歳の中国人だった。

 

好きなことをして暮らしている人が好きな僕は、

何となくその人が気になったのでその人と食事に行った。

 

どんな人なのかとワクワクしていたが、待ち合わせ場所に現れたのは、

胸元に「Astronauts」と書かれたポロシャツを着て、

足元には靴擦れしてアキレス腱が赤く擦れるほどサイズの合っていないサンダルを履き、

サメのリュックを背負った、何とも30歳とは思えない女性だった。

 

会話が弾まなかったなど、その他の要因もあったかと思うが、

何より、彼女の容姿の印象が強すぎてそれ依頼連絡を絶ってしまった。

 

今思えば、彼女も台湾にいた人々と同じように、

自分の好きなことをして生きている人だった。

 

関係が途絶えたことに悔いはないが、

そんな相手を受け入れる姿勢がなかった当時の自分が恥ずかしく、醜い。

それに、まるで自分が相手を評価しているようで情けなかった。

 

 

 

 

日本の電車の中でうるさい声で話すアジア人に対し、

「ここは日本だから日本のマナーを守れ」

と言いたくなるが、

台湾の駅のホームでガムを食ってたら警官に怒られた自分と重ねると、

その土地のルールやマナーは理解し難いものがあるように思える。

 

自分と全く違う環境で育った人の生き方や文化などを、

別の環境にいながら理解することは非常に難しい。

 

いかにも怒ったかのような怒鳴り声で話す中国人が

言葉を理解すれば意外にも怒ってないということに気がつくように、

運転が荒い台湾のタクシードライバーが

めちゃくちゃサービス精神旺盛なように、

海外の人を第一印象で何かを判断するということを改め、

広いゆとりのある心でそれぞれの個性を受け入れ、

本当の彼らを理解したいと思えるようになった。

 

だから、そのことに気づかせてくれた今回の台湾旅行は、

楽しくなくとも非常にいい経験になった。

人生初の海外旅行が台湾でよかったなと思っている。

 

自分はまだまだ知らないことだらけで小さい。

だからこそ、これから沢山海外に行って成長する自分が楽しみである。